株式日記と経済展望

ページを繰り越しましたのでホームページからどうぞ。


15年間、朴槿恵がチェ・テミンと不倫を犯した。チェ・テミン死亡後、
チェスンシルの旦那であるチョン・ユンフェと 16年間不倫関係にあった。


2016年11月30日 水曜日

「朴槿恵大統領は過去に2回の中絶経験」があると暴露 「セックス映像も出てくるだろう」 11月30日 厳選!韓国情報

【簡単に説明すると】
・朴槿恵大統領の暴露が行われる
・過去に2回の中絶経験がある?
・相手はチェ・スンシルの旦那

29日の14時半に3回目の談話が行われ任期満了前に辞任をすると発言した朴槿恵大統領。そんな朴槿恵大統領の過去をチュ・ジンウが25日に早稲田大学で講演を行った。この日、彼の発言は急速にコミュニティに広がり話題になっている。チュ・ジンウの発言の中でも最も話題となったのは次の通り。

「大統領府でバイアグラが出てきた。その次に麻薬成分を込めた医薬品が出てきた。今後はセックスに関する
動画映像が出てくるだろう。その次には開発事業が出てきた。 チェ・スンシルと朴槿恵大統領と関連し、大規模国防不正が出てきたことだ。 皆さんは今チェ・スンシル、朴槿恵大統領問題の10分の1だけ見ておられることだ」
と発言。


彼の発言が話題になり、過去のジョウン牧師がアフリカTVで行った発言が再度ネットユーザーの間で注目を浴びた。2013年ジョウン牧師は朴槿恵大統領のスキャンダルを暴露し、朴槿恵大統領の名誉毀損で懲役1年6ヶ月を受けている。

ジョウン牧師はアフリカTVを通じて次のように暴露した。

「15年間、朴槿恵がチェ・テミンと不倫を犯した。チェ・テミン死亡後、チェスンシルの旦那であるチョン・ユンフェと
16年間不倫関係にあった。朴槿恵は関係の末に妊娠し2回の中絶、朴槿恵は長い間薬を使った。北朝鮮に行って朴槿恵が金正日に500億ウォン(50億円)を与えた。朴槿恵と金正日は関係を持った」


このように暴露し、当時のネットユーザーじゃジョウン牧師の暴露内容が信じられない様子で、単純に朴槿恵大統領を誹謗中傷するための作り話だと思っていた。

しかしチェ・スンシル問題後に薬の問題が発覚し、このジョウン牧師の暴露も信憑性が高まってきている。特に薬を使っていたという部分は合致しており、ここがあっているなら他の箇所、つまり中絶や不倫も正しいだろうという考えである。

朴槿恵大統領とチェ・テミンとの関係は既に韓国の大手メディアが報じている。それによると朴槿恵大統領とチェ・テミンとの間に子供がおり現在は40歳前後で日本に住んで政治関係の仕事をしているという。詳しくは下記記事を参照してほしい。
 
朴槿恵大統領に隠し子疑惑が急浮上 相手はチェ・スンシルの父親 息子は40歳で日本の政治家?



(私のコメント)

韓国のパククネ大統領が辞任の意向を表明しましたが、最後まで徹底抗戦すると見られていたのに急転直下の辞任の表明は何か裏があるのだろう。パククネとチェスンシルの関係だけでもスキャンダルですが、チェスンシルの父とスンシルの元旦那との不倫関係はビックリだ。

どこまで本当なのか分かりませんが、バイアグラや薬物などが大統領官邸から出てきたニュースもあったから、あるいは本当なのかもしれない。洗脳にはセックスと薬物の使用とは深い関係がある。どちらも依存性が高くなり中毒になり洗脳しやすくなる。

中国や韓国に若い政治家や財界人が行くとハニートラップを仕掛けて行きますが、日本の政治家や経済人もよく引っかかったようだ。場合によっては薬物も使用される事もある。日本では周囲の目がうるさいが、中国や韓国に行くと気が緩んで、美女の接待を受ければ罠に嵌ってしまう。

パククネ大統領も、チェスンシル一族の罠に嵌って行ったようだ。パククネの心の隙間に忍び込んで洗脳してしまえば、後はリモコンロボットのように操れる。洗脳されても普段は全く正常だが、依存症は潜伏しており時折発作のように発病してしまう。

このような事はオーム真理教などで事件になりましたが、カルト宗教とセックスと薬物は韓国名物なのだろう。昨日のニュースでも飛鳥容疑者が逮捕されましたが薬物中毒だった。酒やタバコなども依存症がありますが、なかなか止められない人が多い。

私は酒もタバコもやらないから無縁ですが、覚せい剤ともなると脳の一部が破壊されて元に戻らない。覚せい剤の成分が脳に溜まって行くのかもしれませんが、それによって禁断症状が出ると、どんなことをしてでも薬物を手に入れようとするようになる。ヤクザが女を薬物中毒にすれば逃げるに逃げられなく出来る。

パククネもカルト宗教と薬物に寄って洗脳されて、教祖や娘婿などによってセックスを強要されて、中絶や隠し子などの噂が出てきている。まだ噂の段階ですが、本当ならば韓国と言う国は救われないカルト宗教国家とも言える。周りが気がついても、独裁権力とカルト宗教が絡めば誰も止められない。

韓国のパククネ大統領は大統領の官邸で何をしているのか謎でしたが、マスコミは分かっていても大統領権力が恐ろしくて書くことが出来ない。しかし今回のように秘密が暴露されると国民の不満が一気に爆発する。はたしてどこまでは真実で単なるデマかも知れませんが、韓国や中国では嘘でも誰もが信じてしまえば事実になってしまう。

権力を腐敗させないためには情報の公開が必要ですが、中国や韓国や北朝鮮やロシアなどでは独裁権力でなければ国が一つに纏められない。その為には情報をコントロールして国民を洗脳状態にしてしまう。戦前の日本も情報がコントロールされて暴走してしまった。

今回のスキャンダルが、公にされたきっかけはセウォル号事故であり、パク大統領は7時間も何をしていたのかが公開されなかった。それでもマスコミを押さえつける事で伏せられてきましたが、パソコンのメールが外部に漏れた事で事実が浮かび上がってきた。




ドイツは9月末、「2030年までに、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン
などの内燃機関を搭載した新車の販売禁止」を求める決議を採択した


2016年11月29日 火曜日

加速する「脱内燃機関」の動きと「ハイブリッド車」の寿命 11月28日 フォーサイト

 まもなく訪れる2017年は、世界の自動車産業のありようが大きく変わる年になりそうだ。すでに欧州ではドイツなどが「脱内燃機関」に向けて動き出した。米国では電気自動車大手のテスラモーターズが300万円台の電気自動車を発売する。内燃機関時代に自動車産業を制した日本だが、早くもスタート・ダッシュで大きく出遅れている。

■自動車産業から消える「内燃機関」

 ドイツの連邦参議院は9月末、「2030年までに、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関を搭載した新車の販売禁止」を求める決議を採択した。

 ノルウェーでは、2025年から乗用車のガソリン車やディーゼル車の新車登録を禁止する法制化の動きがある。オランダでも2025年以降、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁じる法案が議会に提出された。

 こうした動きを日本のメディアはほとんど報じていない。エレクトロニクス、ITで全く勝てなくなった日本経済にとって、自動車産業は「最後の砦」。その自動車産業で圧倒的な強さを持つトヨタ自動車は、少なくともあと数十年は「ハイブリッド車(Hybrid Vehicle=HV)で食っていこう」と考えている節がある。

 内燃機関であるガソリン車やハイブリッド車で圧倒的な競争力を持つ日本にとって、世界的な「脱内燃機関」の潮流は遅れれば遅れるほど都合がいい。だがそうは問屋が卸さない。欧州と米国は一気に脱内燃機関を進めることで、自動車産業の主導権を日本から奪い取ろうとしている。

 もちろん、世界中で走っているガソリン車やディーゼル車が一朝一夕で電気自動車に変わるわけではない。脱内燃機関は今のところ、「脱原発」と同様、理念先行の感がある。

 だが、こうした動きを過小評価すべきではない。「内燃機関が消える」という、恐らく世界の産業史上で後世に大きく記憶されるであろう革命は、想像をはるかに上回るスピードで実現しつつあるのだ。実際、欧州では環境派の市民活動家だけでなく、脱内燃機関に最も反対しそうな自動車メーカーまでもが、電気自動車(Electric Vehicle=EV)シフトを本気で考え始めている。

■日本メーカーの名前がない!

 独フォルクスワーゲン・グループのアウディは10月、ル・マン24時間レースを含めた「FIA(国際自動車連盟) 世界耐久選手権」(WEC)から2016年いっぱいで撤退すると発表した。今後はEVのレースシリーズ「フォーミュラE」に集中する。

 WECは2005年のレギュレーション変更で、ハイブリッド車のレースになった。「世界一速くて耐久性の高いハイブリッド車」を決めるこの選手権で、長く王者に君臨してきたのがアウディだ。

 市販のハイブリッド車で圧倒的なシェアを持つトヨタ自動車は、「世界一速いHV」の称号を手に入れるため、2012年、WECに再参戦した。2014年には、最も権威のあるル・マンの優勝こそ逃したが、年間のポイントではチャンピオンに輝いた。

 ル・マン制覇に執念を燃やすトヨタだが、最大のライバルであるアウディが、「お先に失礼」とばかりに「世界一速いEV」を決めるフォーミュラEに転向してしまうのだ。アウディのいないル・マンで勝っても世界のレースファンはおそらくトヨタを評価しないだろう。むしろアウディが去った後のWECは興行として成り立つかどうかが懸念される。

 一方、今年で3年目を迎えるフォーミュラEは未来感満点のレースである。先端の空力ボディをまとった電気自動車が、爆音も排気ガスも出さず、時速230キロでヒュン、ヒュンと市街地を疾走する。

 参戦しているのはアウディのほか、フランスのルノー、シトロエン、英国のジャガー。インドのマヒンドラ、中国のネクスト、テチータといったベンチャーも名を連ねる。独ダイムラーも来季から参戦の意思を表明している。だがそこに、日本メーカーの名前はない。

■「ポスト・スマホ」で電気自動車に

 フォーミュラEは電気自動車の実験場である。自動車メーカー以外にも、米半導体大手のクアルコムは、レースカーを先導するオフィシャルカー(独BMWが市販している電気自動車)向けに、無線充電装置を提供している。

 この装置を使えば、わざわざプラグを差し込まなくても、駐車場に止めておくだけで簡単に充電できる。「ショッピングセンターで買い物をしている間に駐車場で充電完了」という未来は、すぐそこまで来ている。スマートフォン向け半導体で世界を制したクアルコムは明らかに「ポスト・スマホ」で電気自動車に照準を合わせている。

 フォルクスワーゲンなどの欧州メーカーは、概ね2020年までに量産ベースでガソリン車並みの価格の電気自動車を投入する計画。ドイツ政府が打ち出した2030年までの脱内燃機関は、かなりアグレッシブな目標だが、決して絵に描いた餅ではない。

■強力に支援する米政府

 米国の脱内燃機関を牽引するのが、天才経営者イーロン・マスク率いるテスラだ。同社の現行モデルの価格は7万ドル(約700万円)超とかなり高いが、2017年中にもガソリン車に対抗できる3万5000ドルの「モデル3」を発売する。

 今年春に予約の受付を開始したところ、すでに50万台の申し込みがあった。テスラの場合、1000ドルの予約金を支払う必要があるので、発売前からテスラは500億円を超える資金を手にしたことになる。モデル3への期待感がいかに高いかが分かるだろう。

 モデル3の価格が下がるのは、電気自動車の中で最も高価部品である電池の値段が下がるからだ。テスラはパナソニックと共同で、総額5000億円を投じ米ネバダ州に「ギガファクトリー」と呼ぶ巨大電池工場を建設した。ここから安価で高性能な電池が供給されるのだ。

「温暖化を防ぐため、地球上からガソリン車を消し去る」と豪語するマスク氏はこのほど、米太陽光発電ベンチャーのソーラーシティを26億ドルで買収した。家庭やオフィスにソーラーパネルと蓄電池を行き渡らせ、「太陽光で作った電気で電気自動車を走らせる」というゼロ・エミッション(排出ガスゼロ)の車社会を構築すべく爆走している。

 マスク氏が先ごろ発表した「マスタープラン」には、今後数年間で電動のピックアップトラックや小型SUV(スポーツ用多目的車)、大型の長距離輸送用トラック、バス型車両を発売する計画も盛り込まれている。

 マスク氏が掲げる理想はとてつもなく高いが、株式市場は「実現可能」と見ている。テスラの株価が過去5年で5倍に跳ね上がっているのがその証拠だ。

 しかも、米政府はこうした動きを強力に支援している。米カリフォルニア州では来年からハイブリッド車が「エコカー」の分類から外され、これまで受けてきた手厚い税制面での優遇制度を受けられなくなる。

 逆に、その優遇を電気自動車などの「ゼロ・エミッション・ビークル(ZEV)」に振り向ける方針だ。結果として、消費者にとってはカリフォルニア州ではハイブリッド車の「プリウス」より電気自動車の「モデル3」の方が安く買える可能性が出てくる。

■「ガソリン需要は25%減る」

「石油生産者は予期せぬ技術進歩にさらされている」

 米欧では10月半ば、英格付け会社フィッチ・レーティングスが出したレポートが話題になった。産油国を脅かすのは電池の急激な技術革新だ。

 蓄電池の性能が飛躍的に上がることで、電気自動車が競争力を増し、ガソリン車を駆逐。石油需要が想定より早く落ち込むというのがフィッチの見立てである。フィッチは「欧州の新車販売の5割がEVという状況が10年続けば、域内ガソリン需要は25%減る」と試算する。

 米エネルギー省(DOE)によると、2015年までの7年間で、電池の価格は73%下落した。2022年までに、さらに半額になるという。根拠は、自動車向け電池の生産ラッシュにある。

 前述したテスラの巨大電池工場「ギガファクトリー」だけではない。韓国のLG化学はポーランドで2017年、サムスンSDIはハンガリーで2018年に、巨大電池工場を稼働させる。電気自動車の量産を始める欧州メーカーに供給するためだ。ダイムラーは自前の電池工場に着々と投資している。

 もちろん、米欧で電気自動車シフトのギアが上がる中、トヨタも手を拱いているわけではない。11月には「2020年をメドに電気自動車を量産する」と報じられた(11月7日付、日本経済新聞、朝日新聞など)。2015年10月に発表した長期的ビジョン「トヨタ環境チャレンジ2050」では、2050年に、2010年比で二酸化炭素(CO2)排出量を90%削減する方針を打ち出している。

 だが、このビジョンに示された、ガソリン車からハイブリッド、プラグインハイブリッド(家庭用コンセントから充電できるハイブリッド車)、電気自動車、そしてエコカーの最終形と言われる燃料電池車へと、35年をかけて徐々に切り替えていくというロードマップには、「できるだけ長くぎりぎりまでハイブリッド車を売り続け、その後、燃料電池車にシフトしたい」というトヨタの本音が透けて見える。

 水素を燃料とする燃料電池車は、究極のエコカーと言える。しかし水素の量産や水素ステーションの整備には莫大な投資と時間がかかる。その間に電池の性能は日進月歩でどんどん向上し、米欧では充電スタンドが整備されていく。

 2020年の東京オリンピック――。電気自動車が珍しくなくなっているであろう海外から来た人々は、その時点でもまだハイブリッド車と軽自動車が幅を利かせている日本を見てなんと思うだろうか。

ジャーナリスト・大西康之



(私のコメント)

今後の自動車産業の変化はどのようなものになるのだろうか。日本でもアイミーブやリーフなどの量産型の電気自動車が売られていますが、さほど売れていない。コスト面と性能面と維持管理費などに問題があるからだ。自動車用電池は高コストであり性能も十分なものではない。安全性にもまだ問題がある。

にもかかわらず欧州の自動車メーカーはEVやPHVに大きく重点を移そうとしている。日本ではハイブリッド車が売れているのに欧州では売れていないのは欧州の自動車メーカーがハイブリッド車に出遅れたからだ。欧州ではクリーンディーゼルが主流でしたが、大衆車での誤魔化しデーターでVW社は信用を失ってしまった。

ドイツでは、2030年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する決議をした。いささか理想に走りすぎているような気がしますが、電気自動車の命運は電池にかかっている。コストや性能や実用性でガソリン車に勝る物が出来ればそれでいいのでしょうが、画期的な新技術が出てこなければ無理だろう。

EVもさほど普及していないから問題点があっても大きな問題となっていませんが、EVには大きな問題点が潜伏している。それは充電に時間がかかる事であり、大量の電池を積み込めばそれだけ充電に時間がかかってしまう。テスラのEVは充電に24時間もかかってしまう。急速充電器を使えば大量の電力を必要とする。

電池にも寿命があり、5年以上が経てば電池の性能が低下して電池を交換する必要が出てきますが、リーフの電池を交換するには60万円もかかる。それでは中古の軽自動車が買えてしまう値段だ。EVが主流になればこのような廃棄された電池は大量になり、社会問題になるだろう。

「株式日記」では当面はハイブリッド車が主流になると見ていますが、コストや性能や実用性から見て実現性が高い。11月3日の「株式日記」では「ノートEパワー」を紹介しましたが、200万円以下でハイブリッド車が売られるようになりました。電池の代わりに発電機を積んだ電気自動車であり、いわばガソリンで走る電気自動車だ。

トヨタでは燃料電池を積んだ「ミライ」はガソリン発電機の代わりに燃料電池を使う車ですが、水素をどのように供給するかの問題がある。燃料電池も非常に高価なものであり、さらに大容量の電池も積まなければならない。どう考えてもFCVは実用的ではありませんが、「ミライ」の燃料電池の代わりにガソリン発電機を積めば「ノートEパワー」と同じになる。

新聞記事によれば、欧米では同じハイブリッド車でも「プリウス」はエコカーから外されるようですが、シリーズ方式のハイブリッド車はEVとして認定されるのだろう。しかし従来のガソリン車もエンジンの改良や車体の軽量化などで燃費が良くなってきたいますが、途上国では従来のガソリン車が主流であり続けるだろう。それは安さが決め手になるからだ。




中国からの輸入増加と、米国での自殺や薬物死の
増加に関連性があることが新しい 調査で分かった。


2016年11月28日 月曜日

10秒で読む日経!視点が変わると仕事と投資のネタになる  11月25日 佐々木洋

中国からの輸入増加と、米国での自殺や薬物死の増加に関連性があることが新しい
調査で分かった。

 この調査結果は、米国各地における中年白人男性の死亡率上昇の謎を解く上で一つ
 の手掛かりとなる。また、大統領選挙期間中に反自由貿易の発言が急増した背景も
 説明できる可能性がある。
 調査論文をまとめたのは連邦準備制度理事会(FRB)の上級エコノミスト、ジャス
 ティン・ピアス氏と、イェール大学のピーター・ショット教授。それによると、
 2000年から「自殺が統計上有意な形で増加しており、白人男性の間で集中している」
 ことが分かった。同年は米連邦議会が中国に「恒久的通常貿易関係(PNTR=最恵
 国待遇を恒久的に認めること)」を付与し、台頭する貿易国としての中国の地位
 が約束された年だ。それ以降、米国への中国製品輸入が急増し、昨年の輸入額は
 当時の約5倍の4830億ドルに達した。

 調査の結果、労働者が中国との競争に比較的ぜい弱な雇用状況に置かれていた郡
 では死亡率が上昇。それはその他の諸要因では説明できないことが分かった。
 米国の製造業の雇用全体は2000年から5年間で約300万人減少したが、そのうち約
 半分は中国からの輸入急増に関連していたという。

 こうした影響を最も強く受けた郡の大半が米国南東部にあった。また約4分の1の
 郡はほとんど影響を受けなかった。そうした郡には貿易競争にぜい弱な製造業や
 農業が少なかったためだ。中国からの競争の影響が全米平均程度だった郡では、
 自殺率が約3.5%上昇、偶発的中毒死は24%も上昇していた。こうした数字は全
 米で死亡者が毎年数千人増えていることを示唆している。影響は長期間にわたる
 傾向が見られたという。

        WSJ  2016年11月24日
   __________
   佐々木の視点・考え方
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      
★このニュース、今後の米中関係並びに世界貿易に大きく影響を与える予感。

 日本でも米国でも失業率と自殺は相関関係が高い。
 職を失って、先々の不安が増すと責任感や絶望から自殺が増える。

 日本では自殺に地域差がある。
 自殺率が増えたのは1990年代に入ってだが、自殺率が高いのは工場等が多い
 地域だった。

 90年代後半は円高で日本の工場がこぞって東南アジアや中国に移転し、日本の
 大企業下請孫請けなどへの委託がごそっと減った時期にあたる。


 地域では青森県・岩手県・秋田県が際立って自殺率が高く、新潟県・島根県・
 高知県などがつづく。

 一方で東京都、千葉県・神奈川県などの首都圏、大阪府・兵庫県・京都府・奈良県
 などの近畿圏、愛知県・静岡県などの中京圏の自殺率は平均以下。

 大都会では工場が閉鎖になっても、仕事の選り好みをしなければ職にはありつける。

 自宅を所有していなかったり、家族数も少ないためしがらみも少ない身軽な人も
 多く、仕事を求めて引っ越しなどもしやすい。

 しかし、自殺率の高い地域では、1つの職を失った場合に、他の職も乏しく、
 大都会に引っ越して転職しようにも、しがらみや住宅ローンや老親等がのしかかっ
 ていて難しいケースが多い。


 これら地域で失職して自殺した人には、真面目で不器用な人が多いようだ。

 こうした日本の先例を踏まえて今日のWSJを読めば、米国でも日本と同じ事が
 10年遅れて発言したことが読み取れる。


 大都会では、職が無くてもウーバーやエアB&Bやオークションサイトで小銭を
 稼いだりサービス業で生き残ることが出来る。よってヒラリー支持でも良かった。

 しかし、簡単に転職できない中部地方の白人男性は、自身の仕事失って、友が自殺
 して涙するものが多かった。このままではダメだということでトランプしか選択肢
 が無かったというわけだ。



(私のコメント)

イギリスのブレクジットやアメリカのトランプ大統領の勝利は、グローバル経済に対する抗議であり、ようやく欧米でも失われた○○年が始まりだしたのだろう。日本は中国に一番近い先進国であり、産業の空洞化が90年代から影響が出始めた。

中国の人件費の安さは、先進国の20分の1であり、14億人の豊富な労働力が世界に影響を与え始めた。グローバル経済で一番潤ったのが中国をはじめとした新興国であり、先進国からの資本と技術供与によって中国は世界の工場と呼ばれるようになった。

製造業の空洞化は、日本もアメリカも同じ時期に始まったのでしょうが、日本は円高によってその流れは早く起きた。日米貿易の不均衡は円高を招きましたが、貿易不均衡と円高を回避するには、中国に工場を移す事によって回避するしか方法が無かった。

グローバル経済は、先進国の製造業を衰退させて労働者の給与も抑えられる結果を招いた。特に先進国の製造業や農業の割合が大きなところが被害を受けた。日本では90年代から自殺者が3万人を超えるようになり、経済的な理由による自殺者が増えた。

日本の政治家や経済評論家などは構造改革をすれば景気は良くなると連呼したが、中国の改革開放政策による影響によるものであると指摘する人はいなかった。アメリカは国策として製造業を見捨てて金融立国を目指した。日本の経済評論家なども金融立国を目指せと連呼した。

イギリスやアメリカは金融立国でバブル経済となり、多くの移民が周辺国から押しかけるようになった。日本はバブル経済の崩壊で金融は壊滅的な打撃を受けて金融立国の危うさを体験していましたが、欧米ではリーマンショックで金融立国ではダメだということが分かった。やはり農業や製造業が無ければ国民経済が成り立たない。

農業や製造業は地域に密着しており、工場の廃業や農業の放棄が起きればそれに代わる職業が無くなってしまう。アメリカでも同じ事が起きており、中年の白人の自殺が増えている。彼らはグローバル経済の影響をもろに受けて失業してしまった。政治家たちはそれになかなか気がつかなかった。マスコミも経済の実態に気がつかなかった。

これらのグローバル経済問題は、日本やアメリカだけで片付く問題ではなく、多国間の経済協定が影響している。多国籍企業にとってはグローバル経済は好ましいものですが、企業は利益を求めて世界各地に工場や支店を設けて利益が上げられるが、個人は簡単には動けない。

または貧しい国から豊かな国への移動は起きるが、豊かな国から貧しい国へ移動する人は僅かだ。しかし企業では逆に豊かな国から貧しい国へ移動して仕事も同じように移動してしまう。貧しい国で低賃金で作らせたものを豊かな国で売って利益を上げる。あるいは貧しい国から労働者を連れてきて低賃金で働かせる。それらの事をグローバル経済と呼んだ。

グローバル経済は、世界各国の99%の人には格差社会を生じさせて貧しくなり、1%の人にとってはますます豊かになって行く。1%の人から税金を取ろうとすればタックスヘイブンに財産を隠す事も出来るようになった。企業もタックスヘイブンにペーパーカンパニーを作って内部留保を貯めこんで行く。

グローバル経済ではいくら働いても賃金は上がらず、グローバル企業は外国から安い賃金の労働者を移民させて働かせるから賃金は上がらせずに済むようになった。グローバル企業の声は政治に大きく反映されるのに、しわ寄せを食らった中年白人層の声は今まで無視されてきた。マスコミからも彼らは無視されてきた。




「パナマ文書」をNHKが独自に分析した結果、名前が記載
されている日本人が、700人余りにのぼることがわかりました。


2016年11月27日 日曜日

パナマ文書 名前記載の日本人 700人余に 11月27日 NHK

「パナマ文書」をNHKが独自に分析した結果、名前が記載されている日本人が、「ICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合」がこれまで公表してきた人数の3倍にあたる700人余りにのぼることがわかりました。
「パナマ文書」は中米パナマの法律事務所から流出した租税回避地=タックスヘイブンにペーパーカンパニーを持つ顧客などのデータで、南ドイツ新聞が入手し、ICIJが各国の報道機関と連携して分析を進めています。

ICIJはコンピューターによる自動的な抽出で、パナマ文書に名前が記載されている日本人をおよそ230人と公表していましたが、NHKがことし6月から5か月かけてデータを手作業で調べ直した結果、その3倍を超える716人の名前を確認しました。

このうち職業や肩書などが特定できた人では、企業の経営者や役員、投資家、医師、弁護士などが目立ち、中にはペーパーカンパニーの口座に税務申告していない巨額の資産を保有していた人もいました。
また、海外で日本の大使を務めた元外交官や、私立大学の理事長、著名な音楽プロデューサーや漫画家の名前があったほか、元暴力団員や脱税や詐欺の罪で過去に摘発された人物も複数いました。一方、国会議員の名前はパナマ文書では確認できませんでした。
元外交官や音楽プロデューサーの名前も
パナマ文書には、元駐レバノン大使で評論家の天木直人さんの名前がありました。天木さんは外務省を退職したあとの2005年、イギリス領バージン諸島に登記されている会社の取締役になっていました。
天木さんは「自分の名前がパナマ文書に出ているとは知らなかった。外務省を辞め今後の生活に不安を感じていたときに、『中国のビル・ゲイツ』と呼ばれているという中国人の男性から中国で携帯電話の動画配信サービスをするビジネスの誘いを受けた。資本金を2人で折半し1400万円程度を出した。しばらく頑張ってみたがうまくいかなくなってその中国人とは連絡がつかなくなった。タックスヘイブンを利用して税逃れなどの不正をするつもりなどは全くなかった」と話しています。

このほか、著名人では音楽プロデューサーの小室哲哉さんの名前がありました。パナマ文書では小室さんは2001年から1年半ほどバージン諸島に登記されている会社の取締役となっていました。複数の日本人や中国人も取締役として名を連ね、香港に本社があるエンターテインメント会社が株主になっています。小室さんは所属事務所を通じて「会社に名前が登記されていたことは認識しているが、詳細はわからない」と話しています。

少女漫画「キャンディ・キャンディ」を描いたことで知られる漫画家、いがらしゆみこさんの名前もありました。パナマ文書ではいがらしさんは1998年にバージン諸島に設立された会社の取締役とされています。いがらしさんは設立手続きの書類にあった署名が自分の筆跡とは異なるとしたうえで、「全く身に覚えがない。びっくり、なんですかって感じ。当時は漫画を描いていただけで、会社の作り方など全くわからない。鳥肌が立つほど気味が悪い」と話して、自分の意思でつくった会社ではないとしています。
大学関係者も7人
大学関係者も目立ち、国立大学の教授や職員など少なくとも7人の名前がありました。

このうち横浜市内にある私立大学の理事長は、1997年にバハマに設立された会社の取締役となっていました。理事長はNHKの取材を受けるまで、この会社の存在を知らなかったとしたうえで、「同じ取締役の中に面識がある海外の金融機関の担当者の名前がある。金融機関に問い合わせたところ、私が以前、金融商品を購入した際にその商品に関連して会社を設立したのではないかと説明されたが、私はそのことを知らなかった。この会社の存在によって国税当局に疑われたり、変な風評を立てられたりしたら困るので、詳細を調べたい」と話しています。
脱税容疑で告発された人の名前も
パナマ文書には、過去に脱税の疑いで告発された人物の名前も複数ありました。

このうち6年前にインターネット広告で得た所得を隠し、法人税6000万円を脱税した疑いで国税局から告発された男性は、その翌年、イギリス領バージン諸島に会社を設立していました。男性は「金融商品を扱う事業を始めるために作った会社できちんと税務申告した。会社は2年半前に売却した」と話しています。

また6年前、2億5000万円の所得を隠したとして国税局から脱税の疑いで告発された金券ショップ運営会社の元社長は、告発される前の年に香港の仲介業者を通してバージン諸島に会社を作っていました。
パナマ文書とは
「パナマ文書」は中米パナマにある法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した内部情報で、顧客が租税回避地=タックスヘイブンに設立したペーパーカンパニーなどおよそ21万社に関する膨大なデータが含まれていて、「史上最大のリーク」と言われています。

「ジョン・ドゥー(名無しの権兵衛)」と名乗る匿名の人物から南ドイツ新聞に提供され、アメリカに本部がある「ICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合」が各国の報道機関と連携して分析を進めています。

パナマ文書をめぐる報道では、世界の権力者や富裕層が秘匿性の高いタックスヘイブンを利用した資産隠しや税逃れを行っていた実態が暴かれました。
ロシアのプーチン大統領の古くからの知人による巨額の資産運用や、イギリスのキャメロン前首相がタックスヘイブンの投資ファンドの株式を保有していたことが明らかにされたほか、アイスランドの首相やスペインの産業相が辞任に追い込まれ、各国の政治にも影響が出ています。
資産を海外に逃がす意図も
パナマ文書の中には日本人が秘匿性の高いタックスヘイブンに資産を移し、借金の返済を逃れようと画策したとみられる記録も見つかりました。

官報などによりますと、多額の借金を抱えていた北陸地方の自営業の男性は4年前、債権者への返済額を大幅に減らしてもらうための法的手続きを地元の裁判所に申し立て、4か月後に認められました。

ところがパナマ文書からは、男性がこの手続きのさなかに、インド洋のセーシェルに、匿名のペーパーカンパニーと銀行口座を作ろうとしたことを示す会社の設立申込書などが見つかりました。男性は会社の株主や取締役を自分の名義を隠すことのできる「ノミニー」という仕組みを使うことを希望していました。パナマ文書には資産証明書なども含まれていて、借金を棒引きしてもらう法的手続きを取りながら、一方で資産を海外の匿名口座に隠そうと画策していたことが疑われます。
この男性には関係者を通じて取材を申し入れましたが、これまでのところ応じていません。

また北海道に住む男性医師が3年前、パナマ文書の流出元となった中米パナマの法律事務所にタックスヘイブンでの会社設立について問い合わせたメールが残されていました。
このメールには「最近、日本ではアメリカと同じように医師が患者から訴訟を起こされることがあるので、医師はみずからの資産の保護を真剣に考えるようになっています」とか、「日本は低金利で資産を増やすことができない。香港の銀行に口座を持ちたい」などとタックスヘイブンに会社を設立し、その名義の口座を持つことを検討する理由が具体的に述べられていました。
中国や香港の取引先に名義貸しも
パナマ文書で、タックスヘイブンに設立されたペーパーカンパニーの取締役とされていた中には、中国や香港の取引先に名義を貸したと明かした人が複数いました。

このうち衣類の輸入卸会社の役員だった岐阜県の40代の男性は、2008年ごろ取り引きがあった中国・大連の貿易会社の社長から「利益をプールする架空の会社を海外に作りたいので、日本人の名前がほしい」と名義貸しを頼まれ、サモアに会社を作るための書類にサインし、本人だと証明するパスポートの写しを渡したということです。
男性は何らかの不正に使うのだろうと考え、自分が巻き込まれることを心配しましたが、同じように名義貸しをした人がまわりにもいたことや、社長と懇意だったこともあり協力したということです。

また、大阪府に住むサングラスメーカーの40代の男性社員は2011年ごろに仕事で知り合った香港のバイヤーから「インターネットを使って日本で小物を売る商売を始めたい。日本人の名前のほうが信用されるので会社を作ってほしい」と、ペーパーカンパニーの設立を持ちかけられたということです。
男性社員は見返りを期待して協力することにし、自分を取締役とする会社をイギリス領バージン諸島に作りましたが、結局、香港のバイヤーが商売を始めなかったため会社は閉鎖したということです。



(私のコメント)

グローバル化の流れで、当然タックスヘイブンを利用した課税逃れや資産隠しなどが行われています。外国には日本の国税庁も調査の手が届かないから、公然とこのような事が行われてきました。タックスヘイブンを使った脱税行為は取り締まる法律が無いから見逃されてきました。

ところがタックスヘイブンの名前が広がって来て、大企業から個人に至るまでタックスヘイブンの利用があからさまになるにつれて、G20でも問題になるようになり、財源確保に悩む各国から規制の動きが出て来ています。これも反グローバル化の流れに乗った動きでしょう。

日本の政治家の名前が出てこないのが不思議ですが、どうしてなのでしょうか。「株式日記」では国内にもタックスヘイブンを作って地域振興をはかればと書いたことがありますが、沖縄などをタックスヘイブンにして、沖縄に10年住めば相続税を安くするとすれば沖縄に移住する資産家が増えるだろう。

貧富の差は国家でなければ、なかなか調整が難しい。税金を支払える人から税金を取って、福祉を必要とする人に分配をするのが国家であり、それが福祉国家である。しかしタックスヘイブンが出来ればその仕組みは機能しなくなる。現状では税を間接税や消費税化する事で貧しい人も課税されている。

トリクルダウンも一時言われましたが、そのような現象は起こり得ず、お金持ちたちは豊かになっても金は使わずにタックスヘイブンに預けてしまう。だからトリクルダウンは起きない。むしろ累進課税で取り立てなければ金持ちたちはカネを使わなくなる。大企業も内部留保を380兆円も貯めこんでいる。

NHKの記事にもあるように、日本人の名前が716人も見つかったということですが、これはまだ氷山の一角であり、パナマ文書もタックスヘイブンにある多くの弁護士事務所の一つのリストに過ぎない。タックスヘイブンと言う制度は大企業や富裕層に便利だから作られたのでしょうが、これだけ名前が知られるようになれば隠し通すことは出来ない。

グローバリズムとインターナショナルは双子の兄弟であり、アメリカによる世界支配の手段がグローバリズムだった。アメリカと言っても一部の特権階級であり、アメリカ国民自身も格差の拡大で生活は貧しくなって行った。これは帝国に起きた内部反乱であり、やり過ぎれば見直しの動きが出てくる事は当然だ。

大企業や富裕層が、税金を払いたくないと言うのは気持ちとしては分かりますが、法人や高所得者の減税が行われてきて消費税は8%にまで課税されるようになった。法人や高所得者に課税してもタックスヘイブンなどに隠されてしまえば税務署は手も足も出せなくなってしまう。タックスヘイブンに子会社があれば合法的に所得が移せるからだ。だから財務省の高官などもタックスヘイブンに口座がある。




トランプ陣営は費用対効果が不明瞭なテレビCMではなく、
費用対効果が明白なネット広告に当初から予算を大きく割いてきた


2016年11月26日 土曜日

ヒラリーがトランプを全米得票数で上回った本当の理由 11月25日 渡瀬裕哉

大統領選挙の全米総得票数でヒラリーがトランプ氏を上回る結果となりました。この一事をもってヒラリーに民主的な正統性があるかのように主張する人々がいます。

しかし、重要なことは「ヒラリーは選挙に負けた」ということです。

民主主義国家では、選挙の前提として法律によってルールが設けられており、各候補者はそのルールに従って選挙活動を行っているという当たり前の現実があります。

ヒラリーがトランプ氏に総得票数で上回って選挙人数で負ける、という構図については「ふーん」という参考値程度の話題でしかなく、殊更取り上げて重要視するほどの意味はありません。

選挙活動はルールに最適化された戦略に基づいて実施される 

選挙はルールが決まった民主主義の試合です。そして、完璧なルールは存在せず、その時点で人々が妥当と認めているルールで行われることになります。そのため、事前に決められたルールを熟知した上で、各候補者陣営によって勝利に向けて最適化された戦略が採用されます。

米国大統領選挙は各州ごとに割り振られた選挙人の過半数を獲得する競争です。そのため、既に過去の記録から勝敗が決定している州よりも、スウィング・ステイト(接戦州)と呼ばれる州の勝敗で決着がつくことは誰の目から見ても明らかなことです。

当然、トランプ・ヒラリー両陣営ともに同じルールの中で選挙を行います。したがって、本来であればヒト・モノ・カネ・情報を戦略的に接戦州に投下してくことになります。そして、戦略の良否は最終的に各州における得票数に反映されることになります。

民主党陣営の選挙は「死ぬほど下手くそだった」ということ

ヒラリー陣営はトランプ陣営に比べて選挙キャンペーンに圧倒的な資金を投入しましたが、最終的な選挙人数獲得数でトランプ氏に大敗北を喫することになりました。

しかし、全米での得票数はヒラリーがトランプ氏を上回った状況となっています。これは何故でしょうか。

各州ごとに最終得票数を比較してみた場合、両者の得票差はカリフォルニア州の得票差によって生まれたものであることが分かります。

全米得票差は200万票差でヒラリー勝利、カリフォルニア州の得票差は400万票差でヒラリー勝利(同州のヒラリー総得票数802万票)です。つまり、ヒラリーの全米得票数での勝利の要因はカリフォルニア州による得票差で説明可能です。

しかし、カリフォルニア州でヒラリーが勝つことは世論調査上元々揺るぎない状況でした。そのため、同州でヒラリーが大量得票をしても選挙戦全体には何の影響もありません。

むしろ、2012年のオバマVSロムニーのカリフォルニア州での得票差は300万票(ヒラリー総得票数785万票)なので、ヒラリー陣営の選挙は西海岸で勝敗に関係が無い無駄な盛り上がりを見せていた、ということが言えます。

ヒラリー陣営は2012年オバマと比べて、アリゾナ、ジョージア、テキサス、ネバダ、フロリダなどで獲得票数を大幅に伸ばしていますが、ネバダ・フロリダ以外の得票増は完全に戦略ミスだったように思われます。

投票日近くのヒラリーの動きを見ても従来までの共和党の鉄板(レッド・ステート)をひっくり返すため、ジョージアやアリゾナにヒラリー自らが足を踏み入れて集会を実施していました。

これは勝利を確信していたヒラリー陣営が歴史的大勝を狙った驕りの表れでしょう。最終的な結果はそれらのレッド・ステートは従来通りの共和党(トランプ)勝利となり、ヒラリーの積極的な選挙キャンペーンは人材・時間・資金の全てをドブに捨てたことになりました。

トランプ陣営の各州選挙結果に見る試合巧者ぶりについて

トランプ陣営の選挙戦略は各州ごとに検証すると極めて明確なものだったと評価できます。

トランプ陣営の得票結果を見ると、ヒラリー優勢が明白であったカリフォルニア州を完全に捨てていたことが分かります。同州でトランプ氏は2012年のロムニーよりも65万票近い得票減という憂き目にあいました。しかし、カリフォルニア州はどうせ負けることが分かっていたため、トランプ氏にとっては大統領選挙の勝敗とは何の関係もない得票減でしかありませんでした。

また、その他の州でもトランプ氏がロムニーと比べて得票数を減らしたほぼ全ての州は元々民主党・共和党の勝敗が決している州ばかりでした。これらの州に勢力を投入しても結果は変わらないので、実に見事な手の抜きぶりであったと思います。

つまり、トランプ氏は、勝敗に関係がない州からの得票を減らしつつも、勝利に直結する州についての得票は着実に増加させていた、ということになります。これはトランプ陣営がメリハリをつけた選挙戦略を採用しており、その結果が得票数という形で如実に表れたものと推測できます。

また、トランプ陣営は費用対効果が不明瞭なテレビCMではなく、費用対効果が明白なネット広告に当初から予算を大きく割いてきたことも大きな勝因の一つとなったものと思います。

以上のように各州の得票数から、戦略と集中、という経営学の教科書のような選挙をトランプ陣営が行ってきたことは明らかになりました。大手メディアが支援するヒラリー陣営の惰性的で驕慢に満ちた選挙戦略とは明確な違いがあったと言えるでしょう。

総得票数で勝負する選挙でもトランプは勝利していただろう

何度も言いますが、選挙はルールが決まった民主主義の試合です。トランプ陣営はヒラリー陣営よりもルールを熟知した上で優れた選挙戦略を実行しました。

筆者は「全米の総得票数を争う選挙」であったとしてもトランプ陣営が勝利したものと予測します。冒頭にトランプ氏が自身のTwitterで述べていた通り、トランプ氏がカリフォルニア、NY、フロリダでのキャンペーンに力を入れれば大幅に得票が増えたことは明白だからです。

上記の通り、ルールを熟知した試合巧者が勝利するゲームが選挙です。

総得票数が多い者が勝つ」というルールならば、トランプ陣営の優秀なスタッフは総得票数で勝利とするために最適な戦略を採用し、ヒラリーを上回る得票を獲得する戦いを行ったことでしょう。

選挙人獲得競争のルールの中で、総得票数で上回って選挙人獲得で負ける、ことが意味していることは1つです。それは、ヒラリーの選挙戦略を立案したスタッフが無能であり、トランプ陣営はヒラリー陣営と比べて極めて優秀だったということだけです。

以上のように、「総得票数でヒラリーが勝っていた!民主的正統性がトランプに欠けるのでは?」という疑問は、選挙というルールを前提にした場合は愚問だと言えるでしょう。事前に決められたルールの中で候補者がベストを尽くす、民主主義社会における選挙とはそういうものだからです。



(私のコメント)

今日もまたアメリカ大統領選挙の話かと思う読者の方もいるかと思いますが、トランプの勝利はマーケティングの勝利であり、ヒラリーの方が選挙資金では圧倒的な資金力を持っていた。しかしその使い方が間違っていたために2分の1以下の選挙資金のトランプに敗れた。

戦争で勝つには、相手の最弱点を突くのが基本原則ですが、ヒラリーは従来通りの選挙戦術であり、特にテキサスやアリゾナなどに重点を置いた。共和党が勝つ鉄板州ですが、そこをひっくり返せると考えたのでしょう。メキシコ国境などにも接しており、トランプの、メキシコ国境に壁を作ると言う事に対する反発票を狙ったのだろう。

それに対してトランプは、オハイオやミシガンと言ったラストベルト地帯を重点的に攻めた。これらの州は接戦州であり、中年白人層の票を掘り起こせば勝てるとデーターで得たのだろう。ヒラリーは何故オハイオやミシガンと言った接戦州を回らなかったのだろうか。ラストベルトはどちらかと言えば民主党の地盤であり、楽に勝てると見たのだろう。

トランプは少ない選挙予算を、テレビなどの既存のメディアよりもネット広告に予算を使った。テレビCMは旧来型のメディアであり、費用がかかる割には成果が少なく、テレビCMにお金を使ったから既存のメディアはヒラリーが優勢と報道した。それに対してトランプは費用対効果の高いネット広告に重点を置いたから、マスコミはこれに気がつかなかったのかもしれない。

トランプ氏自身もツイッターなどで情報を流し続けて、マスコミがこれにかみついた。いわば意図的な炎上手法であり、テレビCMよりも効果があった。ネット広告では読者層が特定的だから、テレビCMよりも効果があり対比用効果が高い事が証明された。選択と集中は企業経営ばかりでなく選挙でも効果を発揮したようだ。

トランプ氏の選挙遊説でもラストベルト地帯を決戦場と見て勝負をかけた。それに対するヒラリーは多くの接戦州で負けたのは、従来は民主党支持者でも棄権が多かったのだろう、民主党のバニー・サンダース氏の支持者たちはヒラリーよりもトランプの方に反グローバル経済の意味で共通するものだ。

ヒラリーの選挙地盤はカリフォルニアなどに偏っており、そこで幾ら大勝しても選挙人数では限度がある。ヒラリーが力を入れたフロリダでも負けましたが、フロリダはキューバ移民が多く、オバマ大統領はキューバとの和解を打ち出しましたが、亡命キューバ人にとっては、民主化していないキューバとアメリカが仲直りする事は支持できないだろう。

韓国のパククネ大統領にしても、日本の稲田防衛大臣にしても重責に耐えきれなくなって精彩を欠いてしまうことも多い。クリントンは健康問題もありメールスキャンダルも致命傷だった。だから選挙遊説でも1日で回れるところが限られていましたが、トランプは1日で自家用ジェットで4,5か所も回った。ヒラリーは油断していたのかもしれない。




トランプショックで、新興国の株や通貨が売られて、米国株式や
ドルが買われている。関税の引き上げで中国や韓国は大ピンチ。


2016年11月25日 金曜日

韓国、「漂流経済」始まった資本逃避「外国人売り」活発化 11月25日 勝又壽良

株安・ウォン安進行

『朝鮮日報』(11月15日付)は、「トランプ勝利で韓国株売り越し・ウォン安・CDS上昇」と題して、次のように伝えた。 

この記事は、金融に関する技術的な内容である。結論を言えば、韓国経済の先行きに不安を覚える結果、株式やウォンが売り込まれている。それを反映して、韓国のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアム(保証料)が連日、上昇しているという話だ。この手の記事に不慣れな方は、私のコメントだけ読んで頂いていいと思う。

(1)「輸出と内需など実体経済が低迷する中、米大統領選でのトランプ氏当選以降、韓国の金融市場も大きく動揺している。世界的に投資資金が安全資産にシフトしており、新興国から先進国へのマネーの流れが生じているからだ。韓国も例外ではない。11月14日のソウル株式市場では外国人は3365億ウォン(約307億円)を売り越した。外国人による売り先行で、韓国総合株価指数(KOSPI)は0.5%下落した。月初来の売り越しは1兆6325億ウォン(約1490億円)となった」。

アジア主要国・地域の株式市場における、11月初め以降(11月1〜11日)の外国人売り越し規模(米ドル)は、次の通りである(『朝鮮日報』11月15日付)。

インドネシア 2億8000万ドル

インド    3億4600万ドル

タイ     4億3000万ドル

韓国    10億9700万ドル

台湾    19億2200万ドル

 

韓国と台湾の株式売越額が他国をかなり引き離している。この理由は、中国への輸出依存度が影響していると見られる。トランプ氏は選挙戦中、米大統領就任式当日に対中国の輸入関税引き上げを行うと広言してきた。株式市場では、その余波を警戒してそれぞれの国で株式を売り越しているのだろう。

(2)「外国人の資金引き揚げで、ウォンの対米ドル相場は連日ウォン安が進行している。14日には前日比7ウォンのウォン安ドル高となる1ドル=1171.90ウォンで取引を終えた。1170ウォンを超えてのウォン安は今年6月末の英国のEU離脱決定以降で初めてだ。米大統領選の前日に当たる8日の為替水準(1135ウォン)に比べると30ウォン以上もウォン安が進んだ計算だ」。

外国人が株式を売ればドルは流出する。その結果、ウォン相場は連日の安値追いとなっている。14日には、1ドル=1170ウォンを超えた(注:17日は1175ウォン)。こうしたウォン安がさらに進行すると、これまで2度も経験した「ウォン安危機」を迎える。国内の政治的な不透明という、これまでにない不安定要因が存在するから、安閑とはしていられない局面に向かっている。

(3)「韓国のデフォルト(債務不履行)リスクを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアム(保証料)が連日上昇している。5年物韓国国債のCDSプレミアムは55ベーシスポイントを記録し、米大統領選前に比べ20%も上昇した。CDSプレミアムは債券が債務不履行となった場合に備えて支払う保険料の性格を帯びており、国のデフォルトリスクの指標となる」。

韓国国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアム(保証料)が連日上昇している。5年物韓国国債のCDSは、米大統領選前に比べ20%も上昇した。韓国国債の格付けは、日本よりも2段階も上級にランクされている。それにも関わらずのCDS上昇である。

大手格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)は8月、韓国の長期債務に対する信用格付けを「ダブルAマイナス」から「ダブルA」へと1段階引き上げたばかりだ。ダブルAはS&Pの格付け等級21段階で3番目に高いもの。韓国にとってはこれまでで最も高い格付けとなった。主要20カ国で格付けが韓国を上回るのは、ドイツ、カナダ、オーストラリア(以上トリプルA)、米国(ダブルAプラス)の4カ国だけだ。英国、フランス、ベルギーは韓国と並ぶダブルAとなっている。韓国はこれまで並んでいた中国(ダブルAマイナス)を1段階、日本(シングルAプラス)を2段階それぞれ上回った。

この自慢の韓国格付け「ダブルA」が、トランプ旋風で揺さぶられている。韓国は、この格付けが引き上げられると、不思議に通貨危機でウォン安に見舞われるというジンクスがある。8月の引き上げの際も、韓国国内ではこれが話題に上がり、「油断は禁物」という話に落ちついた。それが3ヶ月後に、早くも嫌な前兆が見え始めている。国債の格付けは、支払能力があるかどうかを単純に見るものだ。潜在成長力とは無縁である。(後略)



(私のコメント)

今朝のニュースで、円が1ドル=113円になったということですが、選挙前の予想ではトランプショックだと円高で100円も割るような円高が言われていましたが、102円まで上げたかと思えば113円の円安に大きくぶれている。全く予想外の動きですが、今までのグローバル経済から反グローバル経済への流れを受けての動きだろう。

グローバル経済は、新興国にとっては先進国からの投資や技術供与で経済発展しましたが、先進国は産業の空洞化で中産階級の没落が始まった。この流れに対して反旗を掲げたのはイギリスのブレクジットであり、トランプの当選だ。グローバル化を掲げてきた産業界にとってはショックであり、新興国に投資をしてきた投資家にとってもショックだろう。

トランプ氏は、アップルに対してもアイフォーンを国内で製造するように言ったということですが、中国製のアイフォ−ンよりもかなり高い値段になるだろう。製造業の国内回帰はそう簡単な事ではなく、関税を高くしても通貨を安くしてダンピングして来るだろう。その結果為替操作に対しても規制をかけてくるようになる。

トランプ大統領が、選挙中に言っていた事をどこまでやるかが注目ですが、アメリカの為を考えれば今のままでいいということもあるかも知れない。むしろグローバリズムが行き過ぎて、その修正局面が来ていると見るべきだろう。しかしどのように修正すべきなのだろうか。

先進国は、経済が成熟するにしたがって需要が減って供給が過剰気味になる。ネックだった天然資源も採掘技術の進歩で供給が増えてくる。石油だけは確実に上がると見ていましたが、シェール・オイルの採掘の実用化や電気自動車の実用化でガソリンの消費も減る傾向にある。

そこで世界金融資本は、人口が14億人もある中国を巨大市場と考えて資本と技術を集中的に投資をして市場を拡大しようと考えた。何しろ人口がアメリカやヨーロッパの数倍の規模だから、日米欧の大企業は我先に投資をしてきた。中国の大都市に林立する超高層ビルはその象徴でもある。

昨日も紹介したエマニュエル・トッド氏は、中国の経済成長は自ら選択したものでは無く、日米欧にそうさせられたと述べています。先進国の20分の一の人件費はグローバル企業にとって魅力だった。しかし経済成長すれば中国の労働者の賃金も上がって行かなければなりませんが、中国の低賃金が世界中の労働者の賃金を低迷させた。

アメリカの労働者の賃金も低迷すればそれだけ需要が減って、リーマンショック後の経済低迷が続くようになる。そうなれば世界の工場だった中国も輸出が低迷してくるようになる。中国や韓国は輸出依存型の経済だから、輸出の低迷は国内経済も不況になる。中国などの新興国の経済は借金の塊であり、借金が返せなくなれば投資をしてきた先進国は投資が焦げ付く事になる。

これから先中国がどうなるかは、韓国がいい例になるのではないだろうか? 韓国は何度か外貨危機が起きてはIMFや日米によって救われてきた。中国も去年からの外貨の急減は、海外からの投資が減って投資が引き揚げられている事を物語っている。しかし中国は正確な経済統計を発表しないから分からない。

中国は自力で経済発展して来たわけではないから、先進国からの投資や技術移転が行われなくなれば経済発展はそれでストップしてしまう。中国発の画期的な新製品が生まれた世界的な大ヒット商品が無い。日本はトランジスタラジオからラジカセやウォークマンやFAXやデジカメやDVDなどの画期的な新商品を世界に売って、ソ連が崩壊したのは日本が発明したビデオテープだった。中国や韓国はそのような独走的な商品が無い。




グローバル化による低賃金の労働力をめぐる競争などが、多くの
人にとって耐えがたくなっています。グローバル化疲れなのです


2016年11月24日 木曜日

エマニュエル・トット? 混迷の世界を読み解く Dailymotion動画

行きづまるグローバル化 エマニュエル・トッド氏に聞く 朝日地球会議2016 9月29日 朝日新聞

 米大統領選におけるトランプ候補への支持の高まり、英国の欧州連合(EU)離脱。国際社会で、時代が逆流しているようにも見える現象が続く。フランスの知識人、エマニュエル・トッド氏(65)は、グローバル化が大きな節目を迎えているのだ、と読み解く。人々は国境のない世界から国民や国家の枠に戻ろうとしている、そしてそれには理があるのだ、と。10月2〜4日に開催される国際シンポジウム「朝日地球会議2016」(朝日新聞社主催)に参加するトッド氏に、来日を前に話を聞いた。

 

 ――大統領選挙でドナルド・トランプ氏が共和党の候補になったことの意味をどう考えますか。

 「(民主党で候補者指名を争った)バーニー・サンダース氏の人気も合わせると、米国社会で大きな変化が生まれていると感じます。支離滅裂で挑発的なトランプ氏のスタイルの陰に隠れがちですが、トランプ氏を支持する人たちの反乱には理があります」

 「また民主党の党大会で、サンダース氏の演説に会場が強く反応したのは、自由貿易や環太平洋経済連携協定(TPP)の問題に触れた時でした。米国では大衆層だけでなく、前は反対していなかった中流層も意見を変えています」

 「昨年のある人口動態調査によると、45歳から54歳までの米国の白人の死亡率は、1999年から上昇しているというのです。途方もないことです。自殺や麻薬、肥満といったことが原因でしょう。生活レベルの低下、退職後の不安……。グローバル化による低賃金の労働力をめぐる競争などが、多くの人にとって耐えがたくなっています。これは、グローバリゼーション・ファティーグ(グローバル化疲れ)なのです」

 「1980年に(小さな政府を目指した)レーガン大統領が選出されてから約35年。1世代が過ぎ、米国は思想的な大転換のとば口に立っています」

 ――それは国民国家が衰退する年月でもあったのでは。

 「最もしっかりしていた国々が弱体化し、最も不安定な国々は壊れていく時代でした。それは、米国が帝国であった時代とも一致します」

 ――今、その米国人も英国人も国民国家の枠組みに戻ろうとしている、と。

 「そうです。英国の場合、トランプ現象に当たるのはEU離脱問題です。原動力は、あまりにたくさんの移民を受け入れることへの拒否反応です。英国でも民族や国民という問題が優先課題になったのです

 「英国の国民投票は、EU離脱を求めた大衆の声と残留を訴えたエリートたちの対決でした。英国には、エリートに敬意を払うという伝統があります。しかし、それも指導層が国民の安全を守っていると考えられる時に限られます。国民投票の結果は、グローバル化に対する批判です

 ――エリートが自分の帰属する国などの共同体から離れて動くようになっているということでしょうか。

 「その通り。グローバル化で、エリートは自分の国の人々に対して責任を感じなくなった。それは、彼らの夢だったわけですが

 ――エリートたちが主導した欧州統合の未来は?

 「アイデンティティーの危機、共同体に帰属しているという感覚の危機が生じています。たとえばフランスへの帰属意識は低下している。けれども欧州に帰属しているという感覚はもっと弱い。欧州は、国民国家が消滅することへの治療法を生み出していません。むしろ重症化させています。今、EUは解体しつつある。最後に神話を粉砕したのは移民危機です

 ――あなたは移民に反対の立場ではなかったはず。

 「反移民ではありません。ある程度の移民は望ましい。社会に活力を与えるし、人口問題の解決に貢献することもある。しかし、その量や受け入れる社会の人類学的な構造にもたらす意味などを考えておく必要がある。問題は、賛成か反対かではないのです」

    ◆   ◆

 ――あなたは、民主主義は国民国家の枠組みの中でしかうまくいかない、と指摘しています。しかし、グローバル化する諸問題に対して、国民国家はナショナルな(国ごとの)解決しかもたらせないのでは。

 「それは誤った論理です。国同士が交渉して共通の目的を持つことは可能です。欧州がまだ国民国家の集まりだったころは、偉大な共同プロジェクトの時代でもあった。航空機のエアバスや人工衛星打ち上げ用ロケットのアリアンの開発などが実現しました。ところが、欧州が国家間の交渉を飛び越えようとしたときから、なんの決定もできなくなった」

 ――民主主義も国の枠に戻ればうまくいきますか。

 「民主主義の危機は、(グローバル化した)経済の帰結ではない。根源には高等教育の広がりがあります。民主主義の前提は、誰もが読み書きができるようになることでした。そして高等教育を受けるのはごく少数。この人たちが社会でエリートとして生きていくには人々と話ができなければならなかった。ところが今では、高等教育を受ける人が急増し、受けていない人たちとのつながりなしで存在できるようになりました

 「高等教育を受けた人たちが階層を形成するまでになったため、受けていない人たちの不平等感が高まり、社会に緊張が生じているのです。教育には、民主主義を可能にする要素とそれを破壊する要素が同時に存在するのです

 「二つの出口が考えられます。高等教育を受けても、グローバル化で苦しむ人は少なくない。ならば、高等教育を受けていない同胞とつながっているのだという理解にたどり着くことです。そうすれば、民主主義は地に足のついたものになる。でなければ、グローバル化どころか無秩序への回帰です」

    ◆   ◆

 ――あなたは近著「家族システムの起源」(藤原書店)で、人類の最初の家族の構造は核家族だと指摘していますね。

 「複雑な家族システムは遅れた形とみられていました。複雑な構造がシンプルになり、個人が登場し、より自由になるのだと。しかし、より自然なのが核家族であり、歴史を経て複雑な形が形成されたのです

 「グローバル化の夢は一致に向かう夢です。すてきですが、どれほど非現実的な夢であることか。家族構造の歴史の力学も同じです。一致ではなく分岐、分散に向かう力学なのです」


(私のコメント)

グローバリズムは、ユダヤ金融資本が考え出した政治理念なのでしょうが、インターナショナル化とほとんど同じ意味であり、インターナショナルは共産主義の理念です。だからインターナショナルではまずいのでグローバリズムと言い換えたのでしょう。

アメリカとロシアは兄弟国家であり、ザ・インターナショナルで世界統一をも目指すのか、グローバリズムで世界統一を目指すのかの違いに過ぎない。国家や国境の概念が希薄化して、彼らはナショナリズムを敵視する。しかし国家を否定すれば、一部のエリートが世界を支配することが出来る。

1%のエリート社会が99%の大衆社会を支配し、1%の世界のエリートは手を組んで世界がネットワークで結ばれる。「株式日記」では左右の対立よりも、経済格差による上下の対立の時代だと書いてきました。中産階級の多くが下層に転落して行って、エリートはますます豊かになって行く。

その様なグローバリズムの限界が来て、99%の大衆の反乱が起きた。それはイギリスのブレクジットやアメリカのトランプ候補の当選によって現れるようになった。1%のエリート層はマスコミや新聞などのマスコミも味方につけてグローバリズムの正当化をはかって来た。

それは先進国のエリートの1%と新興国の1%のエリートが手を組めばできる事であり、先進国から新興国に工場などを移して新興国の労働者を低賃金で働かせることが出来る。先進国の労働者は失業するか低賃金で働くしかなくなり貧しくなって行く。

NHKの番組で「エマニュエル・トット? 混迷の世界を読み解く」というインタビュー番組があったそうですが、それはネットで動画で見る事が出来た。そこでもトッド氏はトランプ候補の勝つ可能性がある事を予言していましたが、トランプ候補の支持層を指摘していた。

アメリカの中年白人の死亡率の高さを指摘していましたが、ヒスパニックなどは低下しているのに中年白人の死亡率が高止まりしている事だ。死亡する原因としては自殺や薬物中毒やアルコール中毒であり、それらが減っていない事で白人たちが生活に追い込まれている事が想像できる。

彼らはグローバリズムの犠牲者たちであり、職場が海外に移転してしまって失業や低賃金労働を強いられるようになった。 そのような国内の弱者を救えるのは国家だけなのですが、マスコミは勝ち組と負け組に分けて、経済弱者を負け組呼ばわりした。負け組は自助努力が足りないからだと切り捨てられた。

トッド氏は、民主主義が国民国家でしか機能しない事を指摘していますが、1%が99%を支配する事は民主主義国家ではなく独裁国家だ。だからアメリカの1%のエリートと中国の1%のエリートが手を組むことで99%の国民大衆を支配することが出来る。しかしこのような体制は長続きさせることは不可能であり、大衆による反乱が起きる。

トッド氏は、日本の少子化についても論じていましたが、それは日本の家族制度にも原因がある。日本の制度は長子相続の大家族制ですが、それでは女性の立場が弱くなり少子化の原因となって行く。欧米の核家族制度では男女は核家族を作り大人になれば独立して核家族を作る。そこでは男女は平等であり公的な補助制度も発達したが、日本では公的な補助が弱い。

「株式日記」では、子供一人に毎年100万円配れと主張してきましたが、これは公的な補助であり、子供を3人産めば母子家庭でも何とか生活が出来る。現代の日本では母子家庭になってしまうと生活保護を受けるしか手はないが、無料の保育園が無いから仕事も出来ない。

夕方の公園に行けば、母親と子供が遊んでいる光景がよく見られますが、フランスでは母親は夕方まで仕事をしているし子供は保育園にいる。日本では家族制度の影響があり核家族への公的な子育て補助が遅れているのだ。




多くの同盟関係はソ連が大きな脅威だった時代に生まれたものだ。
すべての同盟は再考されなければならない。ヘンリー・キッシンジャー


2016年11月23日 水曜日

[時論] トランプ・ショック 世界の秩序は ヘンリー・キッシンジャー氏  日経新聞11月13日

「孤立主義」あり得ない

 ――共和党のドナルド・トランプ次期大統領が選挙戦で展開した主張により、米国は「新たな孤立主義」に毒されつつあるような印象を世界に与えました。

 「すべての国は自分自身の国益を理解した上で、その外交政策を論じなければならない。安全かつ、妥当に下せる決断の範囲がどこまでかを知ることから(外交の立案を)始めなければならない。だから、米国に『新・孤立主義』の選択肢はあり得ない。それは外交政策を知らない人たちの間で流行するロマンチックなファンタジーにすぎない」

 「ある国と我々が同盟関係に入ったとする。それは我々が彼らの願いを聞き入れたわけでもなく、彼らが我々のそれを聞き入れたわけでもない。ただ双方の国益を反映した結果なのだ」

 ――実際には今回の大統領選を通じて、多くの国々が米国の針路、意図に不安を覚えたのも事実です。

 「(米国内政治に関して)問題となっているのは、双方の過激な人たちが多くの支持を得た選挙の制度だ。左派でも右派でも、多くの人々が現状に不満を抱いていることの表れでもある。これは(米外交の)安定性や、知性と柔軟性を持って(世界の難問に)対応する能力という点でとても重要な意味を持っている。だからといって、すべての政治家が胸に抱いている、すべての幻想を現実のものとして実行できることを意味するわけではない

 ――21世紀も米国は「リベラルな国際主義」に基づいて世界を主導していけるのでしょうか?

 「この(リベラルな国際主義の)伝統を持ち、確立してきた国々は今後もそれを追い求め続けるべきだ。これが彼らにもしっくりと来るからだ。彼ら自身の行動もこれ(国際主義)によって形作られる。この考え方を他国に武力で押し付けるべきではないと思うが、我々はそれを志向しており、その価値観(民主主義、言論の自由、人権の尊重)を心地良いと感じている」

 「ただ、軍事行動を起こす際には、戦略的な必然性を考慮すべきであり、国内で発生する(国際主義への信奉など)感情を反映するものであってはならない


 ――民主党のヒラリー・クリントン候補の陣営を中心に、米国の同盟戦略を強化すべきだと説く声もありました。対して、トランプ氏は日本など同盟国に応分の負担を求めています。

 「同盟戦略とは元来、世界規模で解決不能な諸問題が存在するという事実から発生するものだ。その戦略は同盟相手と米国の国益を反映したものでなければならず、それによってその特別な関係性は定義される。指導者たちは執務室で同盟の評価を重ね、その評価を基礎として(同盟を)修正しなければならない

 「多くの同盟関係はソ連が大きな脅威だった時代に生まれたものだ。今、新しい時代において脅威の内容は違っている。それだけ取っても、すべての同盟は再考されなければならない。新しい現実に立ち向かうため、前向きな意味で再考すべきだ、ということだ

 ――「新しい現実」の一つに中国の台頭があります。米国は中国との関係をどう管理するのですか。

 「近代において、人は主要国間の戦争が何をもたらすかに思いをはせなければならない。今、技術の力はとてつもなく巨大であり、予測不能だ。それゆえ、大国間における1回の戦争だけでも大惨事となる。この事実は(21世紀の)新しい要素だ。これまでは戦争が(国際社会における難問の)解決策の一つと考えられていたからだ」

 ――かつての英独のような既存大国と新興大国との争い、つまり「米中戦争」の可能性を否定するところから始めるべきだと?

 「その通り。だからこそ私はこう言いたい。米中両国の指導者たちは互いにどんな問題があろうとも、両国間の戦争は両国民のみならず、人類のためにならないという現実をしっかり認識するだろうと

 「だが、米中両国には文化的に大きな違いがあるだけに、それをいかにして成し遂げるのかは最も難しい課題といえる。そこには競争の要素もあるが、共存という重要な要素もある。その双方を心に強く留めておかなければならない

 ――米中両国の指導者は「戦争が解決策ではない」というコンセンサスを共有できるでしょうか。

 「そうでなければならない。もし、彼らがそれをできなければ、結果はとても良くないものになる」

■対ロ・対中関係 自問せよ

 ――米国と中国に加え、米国とロシアなど大国の関係は今後どうなりますか。

 「世界は今、大きな変革期にある。第2次大戦後に現れた世界は終わろうとしており、多くの国々の関係を再定義する必要に迫られている。ある程度は国内事情に左右され、ある程度は互いが相手をどうみているかにもよる。ある時点で我々は(それぞれの国と)それを議論すべきだと思う」

 ――そんな時代に、トランプ氏は強いリーダーシップを発揮できますか。

 「第2次大戦が終了した時点で、米国はユニークな立場にあった。それは未来永劫(えいごう)続かなかったが、しばらくの間、米国は世界の国内総生産(GDP)の過半を占め、国際社会は米国の決断に大きく依存した。我々はいかなる問題だろうと持てる資産を使って、圧倒できたのだ」

 「現在いくつかの問題について我々は適切に取り扱うことができずにいた。そして、資産において唯一無二のアドバンテージを背景としたセーフティーネット(安全網)のところまで退いた。いまだに世界で最も強固な経済力を持っているにもかかわらず、だ

 ――米国の世界への姿勢にも転機が訪れていると?

 「我々にはいまだに多大な影響力がある。一方で、我々は他の地域の国々を理解しなければならず、彼らの意思決定についても思いを寄せなければならない。言い換えれば、米国によって彼らの意思は決められない。それは米国にとって新しい経験といえる

 ――米国の新政権は今後どのような国際戦略を志向すべきなのでしょうか。

 「私は合衆国が『グランド・ストラテジー』の活用法を学ぶべきだと説いてきた。現時点に至るまで、我々は個別の案件を解決することばかりに神経を注いできた。つまり多くの国を互いに結びつけるような長期に及ぶ戦略の必要性を認識していなかった。これは米国にとって、いまだに答えを得ていない課題なのだ

 「米国の新政権がまず、取り組まなければならないのは、(米ロ、米中関係の今後について)自問することだ。その時の質問は『彼らは何を成し遂げようとしているのか』であり、『彼らは何を妨害しようとしているのか』であり、『それを誰とするのか』だ。そして、『その目的の達成のため、誰が我々に懸念を与えるのか』ということだ」

 ――近著では新たな世界秩序を形成する際の考え方として、17世紀の欧州で成立した「ウエストファリアの平和」の21世紀版のようなものを提唱しています。

 「(30年戦争終結のためドイツと、フランス・スウェーデンの間で結ばれた条約を指す)『ウエストファリアの平和』は400年前にはとても重要な意味があった。長く続いた宗教戦争で多くの犠牲者を出したため、当時の指導者たちは宗教上の問題と政治上の問題を切り離すことを決めた」

 「その結果、手続きによって参加できる国際システムをつくり、必ずしも誰かの意見に(すべての国が)同意しなくてもよくなった。もちろん、何か行動を起こせば、それは国際法に照らされる。こうした諸原則はどのような国際システムにおいても有益だと思う

 ――中国やロシアの存在感が増す21世紀の国際システムにおいても、ですね?

 「そうだ。その際、何がルールになるのかについて同意を作り上げなければならない。そのルールとは『単なる国境』は変わり得るという考え方かもしれない。そして(各国間の)交渉で、それ(ルール)も修正されなければならない」

 「戦後欧州の振興をみれば、常に問題となったのは『すべての国境は神聖で、犯されるべきものではないのか』ということだ。その後、『ヘルシンキ宣言』で『それら(ルール)は合意によって変わり得るのだ』と言った。それは重要なステップだ。だから、多くのルールが(各国間の)関係を統治するという概念は今もとても重要だと思う

(編集委員 春原剛)



(私のコメント)

キッシンジャーへのインタビューは、当たり障りの無い内容であり、同盟見直し論も多くの同盟が米ソ冷戦時代に生まれたものであり、その目的はソ連崩壊によって終末を迎えた。その後はテロとの戦いがアメリカにとっての脅威となりましたが、中東諸国に攻め込んでもテロは無くならず拡散している。

それは、911事件によってアメリカが直接的な脅威に無関係でない事が証明された。しかしテロとの戦いがいつの間にかイスラムとの戦いとなり、アメリカはアフガニスタンとイラクに攻め込んだ。しかし石油のあるイラクはともかくアフガニスタンに攻め込んでもアメリカに何のメリットがあるのだろうか。

イラクのサダムフセインを排除しても、イラクが民主国家になる訳でもなく、イラクの石油を手に入れたとしても、米国内のシェールガス・オイルの採掘成功によって意味の無いものになった。オバマ大統領はこれらの地域から兵を引かせることに失敗している。

それがトランプ大統領のアメリカ第一主義によって国家戦略も見直される事になるだろう。テロとの戦いで費やされた費用はベトナム戦争の二倍もの費用になっている。それだけの費用をアメリカはどぶに捨ててしまったのだ。しかもシリアにISが登場するにしたがってアメリカはそれに兵を出すことが出来ずロシアに任せた。

このようなテロに対する戦略を立てたのがキッシンジャーなのですが、アメリカが中東で泥沼にはまっている間に中国が台頭してきた。テロとの戦いで費やされた費用を軍事増強に使っていれば、アメリカの権威も保てたのでしょうが、アジアではアメリカ離れが始まっている。

トランプ候補が言っていた事は、国境に壁を築く事であり新孤立主義に政策のシフトが行われるのだろうか。キッシンジャーはそれを否定しているが、中国との新冷戦体制をも否定するものであり、米中との戦争は人類のためにならないと指摘している。確かにそれはそうですが、キッシンジャーは中国やロシアに対する戦略を打ち出してはいない。

キッシンジャーは自分たちで考えろと言っているが、キシンジャー自身も長期に及ぶ戦略を考えてこなかった。要するに出たとこ勝負でテロとの戦いをしてきたのであり、キッシンジャーは大統領にどのような提言をしてきたのだろうか? インタビューの内容を見てもキッシンジャーが何を言っているのか分からない。

アメリカにとって中国やロシアは敵なのか味方なのかもキッシンジャーははっきりとは言わない。要するに分からないということなのでしょうが、新孤立主義は否定している。トランプ次期大統領が今後どのような外交戦略を打ち出すのかは分からない。最近は軍備増強する事を述べていますが、誰を敵にして誰を味方に付けるつもりなのだろうか。

キッシンジャーは同盟を見直すべきだと言っているが、NATOとの関係を見直すということなのだろうか? NATOは確かに米ソ冷戦時代のものであり、ドイツはアメリカの言うことを聞かなくなった。ウクライナ・クリミア問題はドイツには重要でもアメリカには重要ではない。

今後問題になるのは確実に対中国問題ですが、キッシンジャーはあえてはっきりとは言わない。あまりにも彼の発言の影響力が大きいからですが、トランプとの会談では具体的な事は言うだろう。トランプはプーチンとの関係改善を言っていますが、プーチンも経済制裁の解除を願っている。

ロシアは経済制裁でルーブルの価値は半減してインフレが爆発している。その不満がプーチンに向かえば政治生命も危うい。安倍総理とも会談を重ねているが経済制裁委を解除させて経済援助を得ようとしているのだろう。中国も経済的には膨大な不良債権を抱えており、いつ金融破たんが表面化するか分からない。

アメリカにしても、保護貿易ではアメリカ経済の復活は難しい。関税をかければそれだけ物価が上がり、国内で製造するにはかえってコストがかかる。トランプがどのような政策を打ち出してくるか分かりませんが、キッシンジャーがどのような提言をするのかも、このインタビューでは分からない。




バカは死んでも直らない。家電や新幹線で起きた事は自動車でも起きる。
日欧米と組んだ中国側のオリジナルモデルが売れ始めたのだった。


2016年11月22日 火曜日

恐れていたことが始まった。日本の技術を使った品質の高い中国車が世界に輸出されたら厳しい戦いになる 8月5日 国沢光宏

恐れていたことが始まった! 日欧米のメーカーは中国に進出する際、中国側の資本を半分入れることを条件している。つまり工場や開発現場に中国の技術者が入ってくるということを示す。当然ながら技術を、悪く言えば盗まれてしまう。当時、日本のメーカーの役員に「技術漏洩をどう考えますか?」と聞いたことがある。答えは「どんどん前に進めばよい」。常に先行しようという考え方だ。

確かに10年前の時点で自動車技術は日進月歩。最新の技術を日本に留め「普通になった技術」だけ中国に持って行こうとしたのだけれど、中国の市場は予想以上にユッタリとした流れだった。例えばトヨタ自動車の場合、ハイブリッドを先進技術という位置づけたのに、全く売れない。むしろボディサイズの割に高いということで、今や新型車は安売りに近い価格設定にしている。

今や世界的に人気の高い小型SUV10年経った今でも先端技術でなく、カッコよくて信頼性や耐久性のある既存の技術のクルマが売れ筋になっているのである。つまり10年前から習得してきた一世代前の日米欧の技術こそ重要なのだった。そして1〜2年前からついに恐れていた状況になる。日欧米と組んだ中国側メーカー開発のオリジナルモデルが売れ始めたのだった。例えば長安汽車はスズキやフォードと組んで着々と技術を蓄積してきた。

デザインだけでなく品質も日本車に近いついに長安汽車側だけで開発した車種を出してきたのである。スズキやフォードの技術を使っているだけに、模倣を基本としてきた今までの中国車と全く違う品質レベルを持つ。一世代前のスズキやフォード車と同等のクオリティといってよかろう。加えて基本設計はスズキとフォードそのもの。スズキやフォードのシャシ+エンジンに長安汽車開発のボディを組み合わせているため信頼性も高い。

ボルボを傘下に入れた吉利汽車の新型車長安汽車だけにとどまらない。街中では見たことないけれど「なんかに似ている」モデルに多数出会い(ピラーの位置に代表されるハードポイントが同じだと似たような雰囲気のクルマになる)、取材に来ている中国ラリー選手権のサービスパークには見たことのないブランドながら日本車とそっくりな足回りの車種がズラリと並ぶ。聞けば同じクラスの日本車より20〜30%安いそうな。

スズキとフォードに似ている長安汽車完全にヤラれた格好。しかも中国ブランドはモータースポーツにも積極的に出てくるから知名度だって上がる。やがて日本のブランドが不用になるかもしれない。さらに中国のような道路&経済事情の国だって(新興国やアフリカなど)少なくない。本格的な輸出が始まれば日本車とバッティングすることになる。このままだと「敵に塩を送って負ける」ことになる可能性すら出てきた。


(私のコメント)

昨日は中国雑貨を武器に世界進出する中国人の話をしましたが、その流れは雑貨から家電製品に広がり、日本の家電メーカーは三洋や東芝などの家電部門を中国資本に売り渡してしまった。業績不振だから売り渡したのでしょうが、それがいずれ日本に跳ね返って来るでしょう。

日本の大手家電量販店でも、テレビは韓国製や中国製の液晶テレビが並び始めましたが、シャープや東芝などのブランド品のテレビでも、メイドインチャイナだ。日用雑貨から家電製品に広がってきた感じですが、スマホなども中国製品が並び始めた。品質はそこそこでも安いのが武器だ。

その流れが、自動車でも出始めて来ている。国沢氏の記事でもあるように、『当時、日本のメーカーの役員に「技術漏洩をどう考えますか?」と聞いたことがある。答えは「どんどん前に進めばよい」。常に先行しようという考え方だ。』とありますが、以前の家電メーカーの役員も同じことを言っていた。

新幹線でも、川崎重工の役員は一世代前の技術だと言っていましたが、中国はその技術をコピーして格安で売ってくる。日本の経営者は、家電や新幹線で起きた事が自動車でも起きる事が分からないのでしょうか。最先端技術でなければいいと言うのでしょうが、日本品質の格安中国製自動車が世界で売られ始めれば、家電業界のように日本の自動車メーカーは追い込まれて行くでしょう。

経営陣にとっては短期的な利益に目を奪われてしまって、中国市場で売るためには資本や技術を提供してる。やがてはシャープや三洋のように本社ごとごっそりと買収されてしまう。ボルボやジャガーもどんどん中国やインド資本に買収されましたが、会社ごと乗っ取ってしまえば人材ごと獲得できる。

自動車にしても技術が最先端であれば売れると言うものでもなく、ほどほどの品質があって安ければ売れるし儲かる。日本のメーカーが欧米でしてきた事を中国のメーカーが日本に対してして来ることになる。日本の経営者のお人好しぶりが気になりますが、シャープの経営者は液晶技術を韓国に供与して感謝されればいいと考えていた。

日本のメーカーがより高度な産業分野にシフトする為ならばいいのですが、日立や三菱は重電部門にシフトした。しかし東芝は原発部門で失敗して経営危機が訪れている。問題なのは、このような中国企業が日米欧の企業を買収しまくっているのに、日米欧が中国の企業を買収することは出来ない。合弁でなければ許可されない不公平がある。

中国は独裁国家だから、どのような法律も作ることが出来るし、日米欧の法体系とは異なる。中国がWTOに加盟しても中国はその規約は守らない。ドイツなども中国資本が最先端技術を持つ会社を買収し続けていますが、ドイツもそれを問題にし始めた。グローバル経済のいいところだけを中国は利用している。

中国資本は、戦略的な見地から欧米のハイテク会社を買収していますが、それが軍需産業に波及して防衛問題になりかねない。EUは中国が軍事大国化しても直接的な影響は受けませんが、日本やアメリカは直接的な影響を受ける。もっと脅威を感じているのはロシアでしょうが、ロシアの極東地域には中国人の民族大移動が続いている。ロシアはイスラム国家や中国の脅威をもろに受ける。

そのロシアも中国に軍事技術を供与してきましたが、宇宙技術もロシアのコピーだ。アメリカとの対抗でそうして来たのでしょうが、結局はロシアは中国にしてやられてしまった。プーチンががんばっていますが、ロシアは今や外国に売るものは石油しかない。その石油が大暴落している。ジェット戦闘機ですら中国にコピーされてアジア・アフリカ諸国に売られている。

だから日本も自動車もコピーされて格安価格で勝負して来るだろう。気がついた時はもう手遅れで、日本の自動車メーカーのいくつかは中国に買収されているだろう。アメリカも中国資本がGMやフォードを買収する時が来るかもしれない。惜しみなく日米欧の自動車メーカーが中国に技術を供与するからだ。




人口侵略で他国または他国の領土を実質的に乗っ取る
のが中国共産党指導部の深慮遠謀ではないだろうか。


2016年11月21日 月曜日

「人口侵略」という中国共産党の長期戦略 11月21日 高野凌

ギリシア、ロードス島の中国商人(その2)

 (承前)その後数日してロードス島の中央部の観光地から離れた鄙びた田舎の村のバス停でバスを待っていた。バスは一日数本しかなく一時間以上も待つので暇つぶしにバス停の周辺に数軒だけ並んでいる店の一つである雑貨屋を覗いてみた。私が麦わら帽子を買おうと手にしたらしたら奥から主人が出てきて「5ユーロ」と英語で言った。中国人のようであったので「ニイハオ」と挨拶すると主人は中国語で「4ユーロでいいよ」と笑顔で対応。

 そのうちに奥さんも昼ごはんの食べかけの丼を手にして出てきた。談笑していたら二人とも上海近郊の常州市の出身で1年前に店を開いたとのことであった。夫婦は40歳前後であった。奥さんから昼飯のおかずの春巻きを一つ頂き賞味した。二人は5年前にアテネに来て親類の店を手伝っていたが、知り合いから紹介されてこの店を格安で借りることにしたという。

 中国雑貨を安く仕入れるルートがあるので商売は「まあまあ(ハイクーイ)」とのことであった。中国人が「まあまあ」というのは大阪商人が「ぼちぼち」というのと同義語で「結構儲かっている」ということであろう。島の中心地まで買い物に行くとしたら一日仕事になるので村に品揃えが豊富で安価な雑貨屋があれば繁盛するだろうと納得。

東南アジアへの中華圏の急速な拡大

 2014年10月〜12月にカンボジア、ラオス、タイを周遊した際に夥しい数の中国語の看板に圧倒された。ギリシアのロードス島で中国人の小売業の展開に気付いてから外国を歩いているとなにかしら“中華経済圏の世界的拡大というトレンド”が知らないうちに急速に進行しているのではないかと常にモヤモヤと潜在的な脅威のように感じてきたのである。

 インドシナ半島のこれら三カ国では中国系銀行や食堂、宿屋、旅行代理店、商店・スーパー等などの華人スモールビジネスが都市部のみならず農村部まで席捲していたのである。しかし元来中国と地続きであり歴史的に華僑文化圏であるので余り違和感やショックはなかった。

 こうした地域の観光地では中国人若者バックパッカーを対象にした中国系ゲストハウスも繁盛しており漢民族の経済圏拡大を象徴しているようであった。(中略)

中国庶民階級の海外進出が世界を変える

 中国の特権階級や富裕層が日本はじめ世界各地の高級不動産を買い漁っていることは頻繁に報道されている。他方で中国の庶民階層の海外進出の実態は余り知られていないが世界を歩いていると巨大なうねりを実感する。

 実際に見聞した事例を整理すると北京や上海などの沿海州の大都市と比較して貧しい地域出身の庶民階級に海外進出熱が高まっているようだ。故郷と同じライフスタイルを維持して先進国で稼げば手元にお金が残るという仕組みである。そして中国で多少なりともお金を貯めて元手をつくり先進国で最低限の固定資本投資で資金回転率の高い商売を志向するビジネスモデルだ。

 ネットを閲覧すると数年前の時点でも“改革開放後国外に移住した中国大陸公民”は400万人以上。そのうち、海外永住を志向しているのは200万人以上という。

 
所管の外務省や国務院華僑事務局は非正規移住を含め毎年約40万人が海外に移住していると把握しているようだ。米国、カナダ、豪州への合法的移民は年間それぞれ約10万人。2014年の時点で海外在住者は米国130万、ロシア50万、日本40万、カナダ40万、フランス30万、豪州17万、英国・独・イタリア・ブラジル・スペイン・韓国・シンガポール、フィリピン・NZ・南ア、各10万という数字もある。

庶民階層の海外進出を許容する中国共産党の狙いは

 人口侵略で他国または他国の領土を実質的に乗っ取るのが共産党指導部の深慮遠謀ではないだろうか。経済力の向上に合わせてパスポート発行の要件を緩和して庶民の海外進出を容認・誘導してきたのではないか。

 当面の狙いは国内の経済格差拡大に対する庶民の不満緩和、海外における華人(漢民族)ネットワークの強化であろう。武力を背景にした領土拡大と並行して人口侵略により平和裏に世界における影響力を強化するという超長期戦略である。



(私のコメント)

スペインやギリシャの奥地での中国人夫婦の商店の話は、中国人の逞しさを感じさせるものですが、中国雑貨を安く仕入れるルートなどを利用して商店を経営しているようだ。何しろ14億人もの人口を持つ中国が、改革開放政策で世界中に中国人が進出している。

華僑ネットワークは、東南アジアばかりでなく世界中に広がりを見せている。以前は親戚知人を頼って海外進出してきたのでしょうが、現代では中国の経済力をバックに資本による進出も多くなって来た。日本でも東京などあちこちにチャイナタウンが出来て来ていますが、秋葉原でも安い中国製品を売る商店があちこちに見られる。

中国は世界の工場とまで言われるようになり、中国雑貨も世界中で売られるようになった。売り歩いているのは冒頭の夫婦のような人たちですが、片言のギリシャ語やスペイン語で商売をしている。昔なら日本でも商社マンたちが自転車に乗ってアフリカまで売り歩いたと言うのが伝説になっていますが、今の日本人にはそのような逞しさが無くなった。

中国人の進出が一番激しいのはアメリカであり、大量の留学生を送り込んで、卒業してもアメリカで就職して永住権を取って行く。中国こそがグローバル経済の恩恵を受けているのであり、世界各地にチャイナタウンが出来ている。そこを拠点にして奥地にまで中国雑貨を売る商店が出来ている。

日本の家電製品はこのようなチャイナパワーに圧倒されて、駆逐されて行きましたが、円高ばかりが競争力を無くした原因ではない。日本人の海外志向は無くなり、商社マンでも海外駐在員を希望し無くなっている。昔は海外駐在員はエリートコースでもあったのですが、今では海外生活は島流し的なマイナスイメージだ。

昔から進出している東南アジアでは、中国系銀行や食堂、宿屋、旅行代理店、商店・スーパー等などの流通を支配するようになって、国家経済ごと支配して行く。人口割合から言えば数パーセントでも流通を握ってしまえば、経済発展によって波に乗って行く。中国人は特にネットワークを生かした商売が得意だ。

貧しい中国人にとっては、海外進出は夢の生活であり、独裁国家の中国ではチャンスはないが海外に出ればいくらでもチャンスを得ることが出来る。グローバル経済では海外移民は低賃金労働者としても歓迎される。しかし中国ばかりでなく東欧や中東などからも、アメリカやEU諸国に移民が押し寄せている。

イギリスのロンドンや、アメリカのニューヨークやカリフォルニアなどは移民ばかりになり、人種のるつぼになっている。それでイギリスやアメリカなどでは移民排斥や反グローバル経済を掲げる政治の流れが生まれてきている。経営者にしてみれば移民を使った方が安く長時間働かせることが出来る。しかしそれでは本国人が弾き出されてしまう。

経済が発展している時は移民労働者は歓迎されるが、ゼロ成長時代になると移民労働者に対する反発が強くなる。日本はいち早くバブル崩壊でゼロ成長が20年以上も続いてきて、移民労働者は多くないが、アメリカやEUでもリーマンショックでゼロ成長時代に入った。トランプ大統領の出現も時代の流れであり、移民排斥的な動きは大きくなって行くだろう。




「かれが民主党候補に勝ち、大統領にになれるかと、言えば、
可能性はゼロです」(佐藤優)「トランプは勝てません。」(池上彰)


2016年11月20日 日曜日

米大統領選で池上彰の予言は大誤算 11月19日 中村仁

「トランプはない」との断言の検証を

安倍首相がトランプ次期米大統領と会談し、いい雰囲気だったと、メディアは伝えております。そこで思い出すのは、本を書けばベストセラーになる池上彰氏が一年前に出版した「大世界史」(文春新書)での大予言です。「トランプ氏は勝てません」と断言しました。忘れていませんよね、池上さん。大統領選の結果を分析をするようお勧めします。

「大世界史」は、一方の対談相手がこれまたベストセラーを連発する著名学者の佐藤優氏という著名人でしたから、早速、買って、書評めいたものを一年前にブログに書きました。「多くの人が見通しを誤ったことだし・・」、と思っていましたら、記憶力のいい友人が「両氏は大統領選について、見事に外れました」と、今日付けでネットに投稿しました。二人の共著は「最強のコンビ」(文春)だそうです。日本で最も著名なジャーナリストと学者の壮大な間違いは関心をひきます。

新聞、世論調査も軒並み、見通しを誤ったほど、予想を裏切る選挙でした。ですから並みの評論家、学者なら不問に付すとしても、毎月のように本を出し、連日のテレビ番組をお持ちで、社会、経済、政治、国際問題を取り上げている「超一流」池上さんとなると、そうはいきません。池上氏は新聞などメディア批判も熱心ですから、ご自分たちが「誤診の研究」でも出版し、間違いの検証をするよう願っています。

あまりにも自信過剰な見通し

気楽に大統領選を予想したというのならともかく、それなりの根拠を説明しての予想です。紹介しましょう。「共和党ではトランプ氏が注目されています」(池上氏)、「かれが民主党候補に勝ち、大統領にになれるかと、言えば、可能性はゼロです」(佐藤氏)、「ですからトランプが共和党候補になることはむしろ民主党が望むところです」(池上氏)。弱い候補だから、民主党には勝つ自信があるということでしょう。

さらに「米国の人口のうち、黒人、ヒスパニック、アジア系が37%を占め、2020年ころには50%になるでしょう。非白人の人口増加からいうと、伝統的なエリート層とウォール街しか見ていない共和党は、おのずと大統領選に勝てなくなりますね」(佐藤氏)、「トランプは勝てません。共和党は前回の大統領選が最後のチャンスだった、と言われています」(池上氏)。両氏はヒラリー・クリントンの当選を固くし信じて予想していたことが、本から窺えます。

勝因、敗因も見誤る

大統領選挙人の数ではトランプが勝ち、得票総数ではヒラリーの勝ちでしたから、きわどい勝負でした。ですから「最後まで分からない」というならともかく、はっきりと「勝てません」との断言、それも一年前(昨年10月刊)の断言は見事は誤りです。米国のメディア、世論調査もそろって見通しを誤ったのですから、それを含めて検証することはかれらの務めだし、意味があります。

もっともトランプ氏の選挙公約は、従来の共和党とは違います。共和党の主流派がトランプ氏を拒否し、距離がありました。トランプ氏は、両氏がいう「伝統的なエリート層とウォール街しか見ていない共和党」とは違ったのですね。皮肉なことに、むしろ民主党のヒラリー氏が共和党でした。両氏は勝敗予想と勝因予想で、二重の間違いを犯したことになります。

米国人も見誤る勝敗を、まして日本にいる日本のジャーナリスト、学者が見通すことは至難でしょう。ですから私は両氏を批判するつもりは全くありません。お願いは誤診の検証なのです。ぜひ、ぜひ。待っています。



(私のコメント)

連日トランプ大統領関連の事を記事にしていますが、トランプが大統領に当選した事よりも、外務省の元情報分析官も、売れっ子ジャーナリストNO1も見事にアメリカ大統領選挙の予想を外した。しかし、大統領選挙集会の会場の様子などを見れば、トランプの方が遥かに熱気があったようだ。

トランプが、アメリカのマスコミからあれだけ叩かれながら支持率が落ちない所を見れば、接戦である事は誰もが予想できた。事実最後まで世論調査では数パーセントの誤差の範囲でどちらが勝ってもおかしくはない状況であった。それでも専門家たちの予想はほとんどがクリントンの勝ちを予想していた。

クリントンは健康問題もあり、メール問題も抱えていたから、トランプには9回裏の一発大逆転が予想できたはずだ。トランプが予備選挙で次々と共和党主流派の候補を打ち破って行きましたが、その時点でアメリカに何らかの大変動が起きていることが分かるはずだ。クリントンの選挙資金はトランプの倍以上も集めてテレビ宣伝を派手にやっていた。

しかしトランプはツイッターを使って情報発信して対抗した。テレビにCMを流せば膨大なカネがかかるが、ツイッターはほとんどカネがかからない。トランプは選挙集会で暴言を吐けばテレビが大宣伝をしてくれるから頭のいいやり方だ。だから選挙に勝った途端に暴言ははかなくなった。

佐藤優氏や池上彰氏は外務省の元情報分析官であり、池上彰氏はNHKの解説者だった。いわば情報分析のプロの訳ですが、全くの素人である「株式日記」の方が情報分析は正しかった。トランプ氏は選挙最終盤ではラストベルトと言われるところを精力的に回った。この辺りは民主党の地盤であったが、トランプは見事に勝った。

クリントンは、健康問題もあり一日で州をいくつも回るようなことが出来なかった。切り札としてのテレビ討論で直接対決でも結果を残せなかった事が痛い。トランプは長いことテレビ番組のキャスターをしていたから、テレビ討論でもテレビの使い方を知っていた。だからマスコミがいくらクリントン支持を打ち出しても視聴者のトランプ支持を崩すことが出来なかった。

イギリスの国民投票でも、アメリカの大統領選挙でも、左右の対立の時代ではなくなり、むしろ争点は格差問題であり上下の対立の時代であり、グローバル経済化は富める者はますます富み、貧しい者はいくら働いても低賃金の時代になった。大企業や富裕層はタックスヘイブンにカネを預けて儲けた利益は税金を支払わない。

構図としては、大企業・富裕層・マスコミVS大衆貧困層・ネットの戦いの時代であり、結果としてブレクジットが勝ちトランプが勝った。トランプが勝てば株は大暴落とマスコミは書きたてたが、それに踊ったのは日本の株だけだった。マスコミがトランプの選挙向けの大暴言を真に受けたからだ。

日本の専門家は、政府やマスコミの操り人形であり、佐藤優氏や池上彰氏もその一員だろう。佐藤優氏は安倍トランプ会談を大失敗だと述べているが、外務省の大失態のフォローを安倍氏個人でカバーしなければならなかった。トランプ氏との電話会談も早かったが、会談する事で安倍総理にとってもトランプ氏にとっても信頼できるパートナーは日米であることを世界にアピールできた。それはAIIB事件でも証明されている。




2015年の日銀の年間80兆円の緩和資金中30兆円が
アメリカに移動したことが財務省のデータで証明されている。


2016年11月19日 土曜日

トランプの「偉大なアメリカ」と日本の役割 11月18日 増田俊男

米大統領選中、市場は「トランプが勝てばあらゆる分野の先行きが不透明になり株価は暴落、為替は安全通貨の円が買われ円高になる」が定説であった。

ところが実際は一旦下げた後下げを取り戻しNYもニッケイも高値追いでNYは19,000ドルに接近、ニッケイはついに18,000円台、円高どころか円は110円になろうとしている。

日米株価は「持ちつ持たれつ」で上げているかに見える。

「対中45%関税」、「海外進出企業と対外投資強制引揚げ」などの発言はアメリカ利益最優先という次期トランプ政権の基本方針を表している。

レーガン大統領の「強いアメリカ」に倣ってトランプは「偉大なアメリカ」を標榜する。

私は「小冊子」(Vol.83)で先進国も新興国も潜在的財政破たん状態に陥っているが中央銀行の打つ手がなくなっていると述べた。

金融政策が駄目なら財政政策だが、債務過剰で財政出動は出来ない。

世界経済の共倒れを回避するには、世界の通貨の自由裁量権を持ち、世界最大の経済力を持つアメリカを、他国を犠牲にしてでも救済し強化するにかない。

トランプのアメリカ第一主義の根拠はここにある。

金融政策が限界に達した今日のアメリカ経済を成長に導くには、トランプが唱えるインフラ投資などの財政出動しかない。

3回にわたって400兆円以上の緩和資金を放出したFRBのバランスシートは資産(国債)過剰だから今や引締め政策、利上げ模索中でヘリコプターマネー政策(すべての政府支出のための国債を買い上げる)など出来ない。

2015年の日銀の年間80兆円の緩和資金中30兆円がアメリカに移動したことが財務省のデータで証明されている。

日銀の年80兆円の緩和資金が物価にも経済成長にも全く効果がないことが3年7か月もかけて証明されたのにまだ維持するのはFRBが買えないアメリカの建設国債の手当ての為である。

日本の国債(国の借金)のほとんどすべては国民が保有し、国民は決して売らないから日本は安倍内閣の28兆円財政出動はおろかいくらでもヘリコプターマネーを発行出来る。

今後果敢な財政出動による日本経済バブル再現で民間余剰資金はBuy America(アメリカ買い)でアメリカに向かう。

トランプはFRBの力を借りず日本のおかげで強いアメリカ経済を目指すことが出来るのである。正に日米経済「持ちつ持たれつ」である。

世界のすべての国に先駆けて日本の首相をトップ会談の相手に選んだのは当然過ぎるほど当然なのである。

日米安全保障関係の変化については追って解説する。



(私のコメント)

増田俊男氏は、「アメリカ議会、ペンタゴン(国防総省)、CIA(中央情報局)、軍需産業の総合体のことでアメリカを動かす主流」がアメリカ大統領を決めると指摘してきましたが、ペンタゴンとFBIが動いてトランプを大統領にした。トランプも軍力増強に乗り出した。

オバマ路線を引き継ぐヒラリー・クリントンでは軍事費を大幅削減をする。にもかかわらず共和党の主流派は反トランプであり、パパブッシュはクリントンに票を入れると言っていたし、元カリフォルニア知事のアーノルドシュワルツネッガーもクリントンを応援するほどだった。

グレイト・アメリカ・アゲインといった決め台詞は、レーガン大統領を思わせる政策であり、いつの間にかトランプは共和党主流の政策に切り替わりつつあるのかもしれない。ロムニー氏に国務長官の人事構想がニュースに流れていますが、トランプ氏の選挙期間中の姿と、本来のトランプ氏の姿とは別人であり、安倍総理もそれを確かめるための面談だったのだろう。

トランプ氏には世界中から会談の申し込みが殺到しているのでしょうが、日本の安倍総理に面談したのはそれなりの訳がある。これまでのオバマ大統領の媚中外交は共和党主流から見れば苦々しいものであり、クリントン氏に勝つにはトランプ氏しかなかった。共和党主流の候補には小粒の人材しかいなかった。

確かにトランプ氏の選挙演説は過激なものであり、メキシコ国境に壁を作れとか、移民排斥や女性蔑視発言などは、マスコミ向けの発言であり、マスコミはそれに飛びついてトランプ氏を攻撃した。その事がトランプ氏の支持率には影響が無かった。選挙演説は過激であればあるほどマスコミは取り上げる。

トランプ氏のキャラクターは、テレビショーの司会者として国民に知れ渡っていたから、過激発言は選挙を盛り上げるための手段であり、まともに聞いていたらマスコミのように間違える。日本でこれに近い方法を取ったのが小泉純一郎であり、靖国神社参拝もマスコミが飛びついて攻撃したが、支持率には影響が無かった。

クリントンとトランプの選挙戦での陰の主役は中国でありISであった。トランプは、クリントンが中国やISを支援しているサウジやオマーンからカネを貰ってた事を攻撃していたが、マスコミはその事は取り上げなかった。トランプを支持する有権者たちは、マスコミはトランプを叩けば叩くほど中国からカネを貰っているのはクリントンばかりでなく、多くのマスコミが中国からカネを貰っている事を知っている。

トランプ氏は共和党保守本流との和解を望んでおり、そうしなければトランプ氏の政策も実現できない。むしろ共和党内のグローバル派と反グローバル派の違いが鮮明となり、ブッシュ一族はグローバル派でクリントンを応援した。ユダヤ資本勢力も左派と右派があり、それぞれ民主党と共和党とにまたがっている。

株価は18000円台に乗せて、為替は109円台にまで安くなっている。それだけトランプへの期待が高まっているのですが、トランプが大統領が選ばれると株価大暴落と騒いでいたはずだ。今では逆にトランプへの期待でドル高株高になっている。




あまり話題にならないが米国防省は全面的にトランプを支持し、
トランプが当選するように圧力をかけて選挙を支援してきました。


2016年11月18日 金曜日

トランプはロシアに優しく中国に厳しい 国防省がトランプを支援した理由 11月17日 世界のニュース トトメス5世

オバマは中国軍を刺激せず、逃げ回るよう命令し、アジアで米軍の権威は地に落ちた

ロシアに優しいトランプ外交


メキシコに壁を作る、TPPを離脱する、在日米軍を撤退させる以外は良く分からなかったトランプの外交政策が、少しずつ見えてきました。

TPPにアメリカはまだ参加していないので、このまま参加せず自然解散になるか大幅改定される。

アメリカが参加しないTPPは肉が入っていない肉まんのようなもので、皮だけみたいなものです。

TPPに参加を表明した国々はアメリカという肉が目当てだったのに、残ったのは日本などの皮だけで、食べるところが無い。

ニュージーランドとメキシコは「アメリカの代わりに中国とロシアを入れよう」と言っているが、日本政府は中国が入るなら抜けると言っているようです。

在日米軍撤退や日本に核武装を求める話は「言っていない」とトランプは否定しているので、言っていない事にするが日本の防衛負担増を求めてくるでしょう。

ロシアに対しては対立的だったオバマと比べて、トランプは対立を回避するとみられ、欧州諸国と対立しています。

ドイツやイギリスは軍備増強と圧力を強めるロシアを封じ込めようとしているが、トランプはむしろ欧州から撤退したいと考えている。

欧州委員会はNATOから独立して欧州軍を創設する動きを強めていて、アメリカは欧州を軍事的寄生虫呼ばわりしている。

アメリカは金を払って欧州を守るが何も得られず、欧州はただで守って貰いながらアメリカの言う事を聞かないと考えている。

ウクライナ問題にしても欧州をロシアから守るためにアメリカは努力しているが、ドイツやフランスやイギリスは協力的ではない。

それならもう欧州を助けるのはやめようと、アメリカ人が考えるのも無理からぬことです。

中国には厳しいトランプ

中東ではシリア政府を支持するロシアと、反民主的だと否定するアメリカが対立し、現地武装勢力を操って代理戦争をしています。

米ロがシリア周辺の武装勢力に武器を支援して戦わせているという、ベトナムや朝鮮戦争と同じ状況になっています。

ロシアはたまにアメリカ側武装勢力を攻撃し、アメリカも同様にロシア側武装勢力を攻撃しています。

米軍のF22やF16がロシア戦闘機を追跡したり、ロシア戦闘機が米軍戦闘機を威嚇したりする行動を繰り返している。

トランプはこのチキンレースに興味がないようで、シリアの争いや武装勢力支援からは撤退する方針を示している。

オバマはロシアを経済制裁しているが、トランプに変わったら解除か骨抜きになり、見返りに緊張緩和を求める可能性が高い。

ロシアには優しいが中国には厳しい対応をすると見られ、選挙中から「中国人がアメリカ労働者の雇用を奪っている」と名指ししていました。

中国の通貨安誘導も批判していて、通貨戦争や貿易戦争に発展する予感を秘めています。

あまり話題にならないが米国防省は全面的にトランプを支持し、トランプが当選するように圧力をかけて選挙を支援してきました。

投票の10日前にFBIがヒラリー再捜査を発表したのが決定打になったが、コミーFBI長官はロッキード社の元役員で、国防省の影響下にあるとされている。

FBIがトランプ当選を助けたのは国防省の指示があったからで、目的は軍事費削減をやめさせる事でした。

アメリカ陸軍の兵力は第二次大戦で190万人、ベトナム戦争時に150万人、第一次湾岸で75万人、第二次湾岸で55万人と順調に削減されている。

アジアの失地回復を狙う米軍


オバマはさらに削減して現在の兵力は約45万人、軍事費も最大7000億ドル超だったのが現在は6000億ドル(60兆円)を割り込んでいます。

人数が減った割りに予算は減少していないが、国防省にとっては由々しき問題で、兵力が少ないと地上戦ができません。

シリアでもイラクでも無人機で爆弾を空中散布しているだけで、米軍の存在感は地上ではゼロ、ロシアやシリア・イラク軍の方が存在感を示しています。

結局戦争は陣取り、旗取りゲームであって、空から爆弾を撒いても地上で兵士が歩いていないと、最終的に勝てないのでした。

国防省は中国に危機感を抱き、南シナ海やインド洋、太平洋で対抗しようとしたが、必ずオバマが拒絶して対立しないようにしてきました。

南シナ海ではアメリカの軍艦や軍用機が何度も中国軍に追いかけられたが、必ずアメリカ軍は逃げ回り中国軍は勝利していました。

民主党のヒラリーが当選すればこの屈辱的な状況が続くので、国防省と軍需産業はなりふり構わずにトランプを支援しました。

トランプは国防省や軍需産業から支援を受けた以上、借りを返さねばならないし、さらに中国には厳しい政策になると予想できます。

軍事的にはトランプ政権下の米軍が、中国に奪われたアジアの主導権を取り返しに来るのは確実でしょう。



(私のコメント)

今回の大統領選挙では、FBIが大きな働きをしていた事は誰も異論がないでしょう。絶好のタイミングでFBIはクリントンのメール問題を蒸し返してきた。FBIのコミー長官はロッキード出身で国防総省と縁の深い人物です。つまりFNIや国防総省はCIAや軍需産業と並ぶ奥の院だから、彼らがトランプを選んだのでしょう。

それくらいオバマの世界政策は、アメリカにとってもまずい事になっており、クリントンではオバマの政策を続ける事になってしまう。オバマは中国には優しくロシアには厳しい政権でした。クリミアを侵略したロシアには経済制裁を科しているのに、南シナ海に勝手に軍事基地を作っている中国には経済制裁はしていない。

アメリカから見ればクリミアは縁のない地域ですが、南シナ海は太平洋とインド洋とを繋ぐ海域であり、ここを抑えられてしまうとアメリカ海軍はインド洋に行きづらくなってしまう。つまりインド洋の制海権を失うことになります。しかしオバマはアメリカ海軍を抑え込んで実質的に中国の南シナ海の制海権を認めてしまった。

これを見てオーストラリアは親中派の政権が出来てしまって、フィリピンは親中派のドテルテ大統領に変わってしまった。このまま放置していれば太平洋の西半分は中国のものとなり、オバマ大統領はそれを実現しようとしていた。クリントンも後継大統領なら同じ政策だったでしょう。嫌ロ親中のブレジンスキーが外交を仕切って来たからです。

ブレジンスキーもキッシンジャーもドイツやポーランドと言ったロシアと因縁の深い国の出身者であり、恐ロシア感情が強い。そのような戦略面から中国を味方につけてロシアを封じ込めようと言った戦略を立てる。しかし91年のソ連崩壊によって米ソ冷戦は終わり、アメリカ単独覇権の時代が始まった。

むしろ中国が世界第二位の経済大国となり、軍事予算でもアメリカを急速に追い上げて来て軍事でも米中冷戦時代が始まろうとしている。しかし外交を仕切って来たのは相変わらずキッシンジャーやブレジンスキーであり、オバマ大統領の中国政策は融和的であり、ロシアに対してはオレンジ革命を仕掛けてロシアのさらなる解体を目指していた。

ウクライナがNATOに加盟するような事態になれば、ロシアのプーチンも黙ってはいられないからクリミアで反撃に出た。確かにクリミア半島はヨーロッパとは因縁が深いが、アメリカから見ればクリミアはどうでもいい地域である。その辺に米欧間に戦略のずれがある。

オバマ大統領も、クリミア問題や中東問題に関わっている内はアジアは放置状態であり、中国や北朝鮮が何をしようが無関心であり、南シナ海で中国が埋め立てを始めて軍事基地を建設を始めてもオバマは2年間も何もしなかった。第七艦隊には60隻以上の軍艦が所属していますが、南シナ海に一隻もいないと言うのはどうしてなのか「株式日記」でも書いてきましたが、オバマが止めているのだ。

トトメス五世のブログにも書かれていますが、「オバマは中国軍を刺激せず、逃げ回るよう命令し、アジアで米軍の権威は地に落ちた」のだ。オバマは最近になってアジアシフトと言い出してはいるが何もしていない。第七艦隊に軍艦が南シナ海を航行すればニュースになるようになってしまった。南シナ海はマラッカ海峡に通ずる玄関先でもある。

世界におけるアメリカの威光は地に落ちてしまって、アジア・オセアニア諸国は、アメリカとは手を切って中国と手を組む国まで出てくるようになった。それはAIIB加盟問題でもアメリカに従ったのは日本ぐらいになってしまった。アメリカの面目は丸つぶれになり、それが国防総省の危機感に繋がっている。

今朝のニュースでは、トランプ氏は各方面の人々と組閣に向けて精力的に会談を進めていますが、キッシンジャーとも会うということです。安倍総理は真っ先に駆けつけてトランプ氏と会談をしましたが、オバマ大統領の時は日本の総理大臣はなかなか会談に応じてもらえなかった。オバマは中国の首脳とは年に5,6回は会談していた。

おそらく中国の首脳は、日本の総理とは会談するなと言われていたのかもしれない。一番酷い時はビル・クリントンの時であり、日本で開かれたAPEC会議にも欠席したほどだ。それから見ると安倍・トランプ会談は異例であり、イギリスやドイツの首脳からはトランプはバカにされている面がある。安倍総理はロシアのプーチンやトランプとは話が合いそうだ。




市場経済最優先のグローバリズムは、先進国にとっては損する
ところが多く、益するところが誠に小さい構造変化であった。


2016年11月17日 木曜日

トランプ大統領誕生を何故、予測できたか:グローバリズムから新ナショナリズム 11月16日 藤井厳喜

米大手マスコミの情報操作

肝心なことは、今年の米大統領選挙においては、アメリカの大手マスコミの報道が、全くあてにならないということであった。大手マスコミはこぞってヒラリー支持であり、トランプ・バッシングであった。マスコミ自身が主導して、トランプに対するネガティブ・キャンペーンを仕掛けていた感さえある。トランプの言葉は常に、誤解を招くような形でしか伝えられず、ことさらに悪者イメージが先行していた。これは偶然そうなったわけではなく、大手マスコミが政界のアウトサイダーであるトランプを徹底的に排除するためにある程度、意図的に行ってきたことである。リベラル系メディアは元より、予備選挙の段階からトランプ・バッシング一色である。
保守系メディアは通常、共和党候補を応援するのだが、今年の大統領選挙では、旗幟鮮明にしてトランプを応援した大手メディアは殆ど存在しなかった。保守系大手メディアも、トランプと反トランプに分裂していたのである。つまり大手メディアにおけるトランプ応援団は極めて少数派であったと言うことができる。それではトランプ支持者たちは、どのように運動を展開していったのかと言えば、彼らは、インターネットのTwitterやYouTubeをフルに活用して、大手メディアに対抗していったのであった。

アメリカの大手メディアがこういった状況であったのだが、日本の大手メディアが又、全く無反省にアメリカの大手メディアの情報をそのままに垂れ流しにしていた事には、更に驚かされた。アメリカの大手メディアの報道の歪みを日本のメディアが修正するのではなく、寧ろその歪みを更に拡大して日本国民に情報を流したのだ。つまり、日本国民としては、アメリカの大手メディアと日本の大手メディアという二重の歪んだレンズを通してしかアメリカの現状が見られなかったのである。
そういう事態を予備選挙の時点から把握していたので、筆者としては大手メディアが発表する両候補の支持率調査
(世論調査)をそのまま信用することは全くしなかった。初めからあてにならないと分かっていたからである。
特に数字の改竄が酷いと思われたのがCNNである。CNNは、良識あるアメリカ国民からはクリントン・ニュース・ネットワークと仇名される程に、クリントン陣営べったりであった。報道機関というよりは、クリントン選挙対策本部の広報部になったような感じであった。大衆を情報操作するために、CNNは相当、意図的に支持率調査の数字をいじっていたものと思われる。

筆者としては、大手マスコミ絡みでない信用できる世論調査を見付けて、それを継続的にフォローすることにしていた。それらの比較的に政治的に中立性があり、客観的な世論調査が物語っていたのは、実はトランプ対ヒラリーの戦いは、抜きつ・抜かれつの接戦であったが、終盤に向けて明らかにトランプの支持率が上がっているという事実であった。又、当選予測の為には、支持率調査以外にも、いくつもの経験則のようなものが存在する。例えば株価との関係や、前回大統領選挙との相関関係などである。大統領選挙は4年に1度のアメリカ政治の一大イベントなので、この手の経験則の知識の蓄積にも膨大なものがある。中には参考とすべきものが多い。星占いまで持ち出す気はないが、今回、特に注目したのは、予備選挙の初期の段階の票の出方だけから、本選挙の最終結果を予測すると言う選挙予測法であった。結果として、これは今回も予測が的中している。又、ラスベガスの賭け率なども一応の参考になる。
こういった事象に加えて、最近はインターネットの時代であるから、先程申し上げたトランプ支持者からの直接のインターネット上の情報提供も又、極めて有益であった。

例えば今回、選挙戦の終盤に向けてトランプとクリントンの支持集会の様子が度々、個人のYouTubeで放映された。単純に言って、トランプ支持集会は満員で熱気にあふれ、クリントン支持集会は人が閑散として白けていたのである。そういった会場の現場を複数、観察していれば、クリントンが圧倒的に優位という世論調査は、どうもおかしいと思うようになる。これが健全な常識というものであろう。
大手マスコミの垂れ流す数字をうのみにしていた日本の所謂「評論家」たちは、生のデータを幅広く集め、虚心坦懐に自分の頭で物事を考えるという、ごく当たり前の努力を怠っていたのである。だから大マスコミに引き摺られてしまったのだ。今回のアメリカ大統領選挙を通じて、アメリカのマスコミの病根も明らかになったし、又、日本のマスコミの歪曲と無能さも白日の下に晒された感がある。
日本のマスコミはこれだけの無責任な報道を行なっておきながら、全く反省するそぶりさえ見せていない。次は直ぐ、トランプの組閣人事だということで、またまたハシャギまわって中身のない報道合戦を繰り広げている。

筆者自身のことで恐縮だが、トランプ当選の予測を的中させたというので、少しは大手の新聞や地上波のテレビ局からインタビューや出演の依頼があると思いきや、これが全くといっていいほど無かったのである。やはり自分達の失敗は、徹底的に隠蔽したいというのが、マスコミの体質なのであろう。こんなことをしていると、大衆は益々マスコミ離れをしてゆくことになるだろう。自ら墓穴を掘っていることに気が付かないのだろうか。
アメリカでは今回の大手マスコミのあまりに酷い情報操作に対する反感が高まっている。今後、大手マスコミは、その影響力を失い、個人発信のYouTubeテレビやニューズレターのようなものが影響力を拡大してゆくだろう。日本のマスコミは相変わらず無反省のようだが、彼らの力の衰退も最早、避けることができないであろう。

グローバリズムから新ナショナリズムへ

少し視野を拡げて今回のアメリカ大統領選挙を見ると、世界では現在、グローバリズムから新ナショナリズムへの大きな潮流の変化が起きていることが分かる。米大統領選におけるトランプ当選は、今年6月の英国のEU離脱と全く同じ方向の現象である。過去30年から40年、世界を席巻してきたのは、ボーダーレス・エコノミーを目指す経済グローバリズムの潮流であった。ボーダー、即ち国境を廃止し、人・モノ・カネが世界を自由に動き回るグローバル市場主義こそ、世界経済を成長させてゆくエンジンであると散々に喧伝されたのである。人々はその理論を詳細に検討することもなく、安易に受け入れ、世界経済はボーダーレス化の方向に変化してきた。

しかし振り返ってみれば、この市場経済最優先のグローバリズムは、先進国にとっては損するところが多く、益するところが誠に小さい構造変化であった。つまり、グローバル経済推進で大儲けしたのは一部の多国籍大企業だけであり、先進国の中産階級は押しなべて、その経済的地位が没落していった。多くの雇用が低開発国に流出し、先進国の勤労者の賃金は、相対的に引き下げられた。
先進国の大企業は、例えばアップルなどがそのよい例だが、低開発国で低賃金を利用して製品を製造し、それを先進国の豊かなマーケットで売って利益をあげ、更にその利益をタックスヘイブンに蓄積して先進国では納税しないという巧みな経済行動をとるようになってきた。多国籍企業というよりは、まさに無国籍企業である。こういった企業はグローバル化によって大儲けが出来たが、先進国の中産階級、特にアメリカの中産階級は、この動きにより大きな損害を受け続けてきた。
アメリカでは過去30年間、まさに中産階級は崩壊を続けており、それには歯止めがかからなかったのである。民主党も共和党も、アメリカ中産階級を救う政策を打ち出すことは出来なかった。その欲求不満がトランプ現象を生み出したのである。トランプは堂々と自由貿易を否定し、保護貿易によって中産階級を保護すると主張した。従来の二大政党が決して言い出せなかった政策である。結局、グローバリズムは先進国の国民、特に中産階級を不幸にしただけであるという結論が、もう出てしまっているのだ。もうグローバリズム幻想には騙されないぞ、というアメリカの有権者の出した答えが、トランプ当選であった。

イギリスのブレクジッドに関しても同じことが言える。イギリスという国家の独立を放棄して、EUの一部になり、経済的繁栄をイギリスが享受できていたなら、英国民はEU離脱を決して決断しなかったに違いない。結局、独立を放棄し、EUの経済統合に身を投じてみたが、平均的イギリス人の生活はよくなるどころか、寧ろ貧困化していったのである。イギリスの場合、特に金融業のエリート達は大いにグローバル化とEU統合によって利益を上げることができたが、その他の国民はコストのみを押し付けられ、不満は蓄積してゆく一方であった。そのコストの最たるものが外国難民の流入、特に中東からのイスラム系難民のイギリス流入であった。EUに留まり続けていれば、大量の難民を継続して引き受けなければならない。それはイギリスの国柄を完全に破壊してしまうことになる。経済的にもイギリスにプラスにならない。そう見限ったからこそ、イギリス国民はEUからの離脱を決意したのである。ここにおいても、グローバル化、ボーダーレス化がイギリス国民を決して幸福にはしなかったという厳然たる事実が存在する。
つまり、経済のグローバル化は先進国の国民にとって、決してよい結果をもたらさなかったというのが過去30年の結論なのである。それ故、もう一度、国民経済を再建しよう、国家という秩序を再構築しようという方向にイギリスとアメリカの国民は大きく舵を切ったのである。

2017年には、フランスで大統領選挙が行なわれる。2回投票制の為に、4月から5月に行なわれる選挙だが、ここでフランスのナショナリズムを代表する国民戦線のルペン候補が当選する可能性が高まってきた。ルペンが当選すれば、少なくともフランスは、統一通貨ユーロを離脱することになるし、国民投票を経て、場合によってはEUそのものから離脱するかもしれない。例え、ルペンが当選しないにしても、これ以上、国家の独立を犠牲にしてEUという国際共同体に権限を委譲するという流れは、完全に逆転しつつある。国家はその自己決定権を取り戻そうとしている。そして自国民の面倒は自国でみる、という方向に世界政治のトレンドは動きつつある。国境をなくしてみても、いいことより悪い事の方がはるかに大きかったということだ。日本もこういった国際社会の動向を踏まえて、国家秩序の再構築と国民経済の再生に取り組まなければならない。自由貿易を拡大すれば経済が自然に発展するなどというのは、全くの幻想にすぎなかったのだ。我々は過去30年から40年、社会実験を行ない、その結果が既に明らかになっているのである。同じ失敗を繰り返すことは許されない。



(私のコメント)

イギリスで起きたブレグジットの流れは、アメリカ大統領選挙におけるトランプ氏の勝利によって拡大されてきた。国家と多国籍企業との戦いは、人々の意識からは隠されていたが、行き過ぎた多国籍企業資本主義は国民の幸せをもたらさない。国民を守るのは国家の責務であり、多国籍企業は儲けた利益をタックスヘイブンに隠してしまう。

グローバル資本主義経済は、海賊資本主義であり国家の手の及ばない所に利益を隠してしまう。タックスヘイブンと言う隠し金庫はケイマン諸島やバージン諸島にある。パナマ文書で暴露された内容の多くは脱税した個人資金や課税逃れの多国籍企業の名前が列挙されている。国民から収奪された資金がタックスヘイブンに隠されている。

このような事実がネットによって暴露されて、イギリス国民やアメリカ国民の怒りに火がつけられて国民投票や大統領選挙によって現れて来た。マスコミは多国籍企業の味方でありCMのスポンサーになっているからだ。だからクリントンを応援するコメンテーターしかテレビに出ることが出来ない。しかし国民もネットによって反グローバリズムの動きが起きて来ている。

日本企業の内部留保は380兆円にまで膨らんでいますが、本来ならば従業員の給料として給付されるべきカネであり、それがタックスヘイブンに隠されている。タックスヘイブンの子会社にカネを移し替えれば税金がかからないからだ。アップルやグーグルやアマゾンはアメリカで得た利益をタックスヘイブンに持って行ってしまう。

タックスヘイブンは何もしなくても、世界中からカネが集まって来て、資金運用して得た利益で、今やタックスヘイブンには超高層ビルが林立している。そしてイギリスやアメリカの工業地帯は廃墟と化して、労働者は失業してホームレスになってしまった。つまり1%の富裕層だけがますます豊かになり99%の貧困層は職を奪われる恐怖に慄きながら低賃金で働かされる。

考えてみれば、TPPも喜ぶのは多国籍企業であり、TPP加盟国からは移民が押し寄せてくる。トランプがメキシコ国境に壁を築けと言うのはアジテーションですが、アメリカにあった工場もメキシコに行ってしまった。中南米からは多くの低賃金労働者がやって来て、アメリカ国民の給料が上がらなくなってしまった。

トランプ新大統領は、関税を35%に引き上げると言っている。藤井氏は「トランプは堂々と自由貿易を否定し、保護貿易によって中産階級を保護すると主張した。」と述べていますが、その動きがイギリスやアメリカで起きている。日本でもこの動きが出て来るだろう。TPPはこの動きに逆行する事だ。

先進国の多国籍企業は、新興国に惜しみなく技術や資本を供与して工場を建てて安い賃金で働かせて、その製品を先進国で売りさばいてきた。しかし今やその動きの反動が起きて来て、中国製や韓国製のパソコンやテレビやスマートフォンが世界で大きなシェアを取るようになった。だからトランプはアップルのアイフォーンをアメリカで作れと言っている。

パソコンやテレビやスマホは、価格破壊が起きてしまって10万円で売られるべきものが3万円で売られるようになってしまった。安く売られれば製品の普及にはプラスだが、日本の家電産業は儲からなくなってしまった。これもグローバル経済の行き過ぎから起きた事であり、新興国からの安売り製品にはダンピング課税をかけるべきだろう。

藤井氏は日本やアメリカのマスコミを批判していますが、グローバル資本主義を批判する事は新聞やテレビで批判する事は許されない。すれば極右扱いされて人種差別主義者のレッテルが張られる。移民も行き過ぎれば、その国の労働者にとっては低賃金で働かされる事になる。




マイケル・ムーア監督が、何故トランプが勝つことを予想したのか。
全てを失った人にとってはトランプに投票するしか方法が無いからだ。


2016年11月16日 水曜日

ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう 7月29日 マイケル・ムーア

友へ

悪い知らせを伝えるのは残念なことだが、昨年の夏、ドナルド・トランプが共和党の大統領候補になるだろうと君たちに言った時も、俺ははっきりと伝えていた。そして今や、君たちにとってさらにもっとおぞましい、気の滅入るような知らせがある。それは、ドナルド・トランプが、11月の大統領選で勝つということだ。この浅ましくて無知で危険な、パートタイムのお笑いタレント兼フルタイムのソシオパス(社会病質者)は、俺たちの次期大統領になるだろう。

トランプ大統領。さあみんな、この言葉を言ってみよう。だってこれから4年間、この言葉を言うことになるんだよ。「トランプ大統領」。

俺の人生で今回ほど、俺は正しくない、俺が間違っている、って誰かに証明してほしいと思ったことはないな。

俺には、君たちが今何をしているかわかる。激しく首を横に振っているだろう。 「いや、マイク、そんなことは起こらない!」とか言って。残念ながら、君たちは外界から隔離された狭い範囲の世界で生きている。その世界には、隣にエコー室があり、そこで君たちとその友人たちは、アメリカ人はバカ野郎を大統領に選んだりしないって確かめあっている。

あらゆることがトランプがらみだから、奴のクレージーなコメントとか、こっちが恥ずかしくなるくらい自分に酔っている奴のスタンスのおかげで、君たちは奴に対して、呆れたりあざ笑ったりしている。その頃、ヒラリー・クリントンの話を聴いて、私たちの最初の女性大統領、世界が敬う人、頭が切れて子供たちを大事にし、オバマのレガシーを継承する人に注目している。なぜならこれこそ、アメリカ人が求めているものだからさ! もちろんこれからの4年間もこのままさ!

君たちはすぐさま、この狭い世界から脱出しなきゃいけない。現実を否定ながら生きるのをやめて、限りなく現実だと心の奥底では理解している真実に向き合う必要がある。

「有権者の77%は女性と有色人種と35歳未満の若者だ。トランプは絶対に彼らの過半数の票を獲得できない!」なんてことで安心しようとするとか、「みんなこんなバカ野郎に投票することはないだろうし、自分にとって最善の利益に反して投票することもないだろう!」なんて理屈で安心しようとするのは、脳がトラウマから自分を守ろうとする働きなんだ。通りで大きな音を聞いても、「ああ、タイヤがパンクしただけだ」とか「あれ、誰かが爆竹を鳴らしているんじゃんないか?」と思うだろ。というか、誰かが銃で撃たれた音を聞いた、なんて思いたくないんだよ。

これは、911が起きたときに最初のニュースと目撃者の話が、「小型飛行機が誤って世界貿易センターに突っ込んだ」だったのと、同じ理由だな。俺たちは最善の結果を求め、望むことを必要としている。なんでかっていうと、ぶっちゃけ、生活はもう混乱してるし、給料ぎりぎりの暮らしで何とか生き抜こうとしたって、もう難しいんだよ。俺たちはこれ以上悪いことが起きても、対処できないんだ。だから何か恐ろしいことが実際に起きたって、俺たちの精神状態は変化を受け入れられないんだ。

フランスのニースでトラックに轢かれた最初の人々が、この世で最後の瞬間にしたことは何かというと、その人は単に運転手がトラックをコントロールできなくなっただけだと思って、運転手に手を振って、歩道の縁石を飛び越えたことを指差して、「気をつけて!」と叫んだんだ。「歩道には人がいるよ!」って。

おい、みんな、これは事故じゃないんだ。事件が発生しているんだ。それでも、クリントンが事実の積み重ねとか、頭の回転の速さ、理屈とかで、トランプを倒せると信じている人は、この1年、56カ所で行われた予備選とか党員集会の結果を見過ごしている。共和党には16人が立候補して、みんな打倒トランプに全力を注いだけど、誰もトランプの勢いを止められなかっただろ。今の情勢だったら、本選でもこれは起きると思う。そしてこの事態に対処するためには、まず君らみんなにこの事実を知ってもらう必要がある。それから、多分、もしかしたら、俺たちが今いる混乱から抜け出せる方法を見つけられるかもしれない。

勘違いしないでほしい。俺は自分の住んでいる国に大きな希望を持っている。状況は好転している。左派はジェイムズ・D・ハンターが言うところの「文化戦争」に勝った。ゲイとレズビアンは結婚できるようになった。アメリカ人の大多数が今や、世論調査の質問に、寛大な答えをしている。女性の同一賃金――わかった。中絶は合法であるべき――わかった。環境法の強化――わかった。銃の規制強化――わかった。マリファナの合法化――わかった。大きな変化が起きている。 今年22州で勝利した社会主義者のサンダースにぜひ尋ねてほしい。そしてもしみんなが自宅のカウチからXboxとかプレイステーションで投票できるなら、ヒラリーが圧勝するのは間違いないと思う。

でもこれは、アメリカで実際にできる方法じゃない。みんな家を出て、投票の列に並ばなければならない。そして仮にそこが貧しい黒人とかヒスパニックの地域だったら、長い列に並ぶだけでなく、うまく投票できないようにつくられている。だから、ほとんどの選挙で、投票率が50%になることだって難しい。そこに11月の大統領選の問題があるんだ。つまり、投票する気のある、投票するように鼓舞された有権者たちを、どうやって投票所に連れていくか?ってことだ。

みんな、この質問に対する答えがわかっているだろう。いちばん過激な支持者がいる候補者は誰なのか? どの熱狂的なファンが午前5時に起きて、朝から晩まで全力を尽くし、はるばる投票所まで行って、それだけじゃなくてトムとかディックとかハリーとか(そしてボブ、ジョー、ビリー・ボブ、ビリー・ジョー、ビリー・ボブ・ジョーとか)全員を投票に行かせるだろうか? その通り。これが俺たちが今最大級の危機に陥っている状況なんだ。そして自分をごまかさないでほしい。どんなに説得力のあるヒラリーのテレビ広告が流れても、討論会でヒラリーがトランプに事実を質しても、共和党主流派の自由主義者たちがトランプから票を吸い上げても、奴の呪術を止めることは出来ないだろう。

トランプが大統領になる5つの理由を教えよう。

1.中西部の票読み。

ラストベルト(錆びついた工業地帯)の奴らは、EU離脱と同じことが起きることを歓迎している。トランプは、ミシガン、オハイオ、ペンシルベニア、ウィスコンシンといった五大湖を取り巻く4つのブルーステート(民主党が優位の州)に意識を集中させると俺は思っている。この4つの州は、もともと民主党が強い地域だが、2010年以降それぞれの州で、共和党の知事が選ばれている(最終的にペンシルバニア州だけは、今は民主党知事になっている)。3月のミシガン州予備選で投票に行ったのは、民主党が119万人なのに対して、共和党は132万人だ。

トランプは、ペンシルベニア州の最近の世論調査でヒラリーをリードしていて、オハイオ州では同点だ。同点? トランプがこれだけ無茶苦茶な発言と行動しているのに、どうしてこの大統領選レースは、これほど接戦になっているのか? これは多分、ヒラリーがNAFTA(北米自由貿易協定)を支持したから、製造業中心の中西部の州の壊滅を助長した、とトランプが発言しているからだ。クリントンがTPPを支持したから、この4州の人々をひどく不利な立場に置いた他の貿易政策に関して、トランプはクリントンを攻撃するだろう。

トランプがミシガン州で選挙活動している時、フォード・モーターに働く工場労働者のために、もしフォードが工場を閉鎖してメキシコへ移転するなら、メキシコで製造してアメリカに入って来る自動車すべてに、35%の関税を掛けると言った。これがミシガン州の賃金労働者たちの耳には、この上なく甘美な音楽のように響いたんだ。そしてこの時、トランプはAppleにも、iPhoneを中国で製造するのをやめて、ミシガンの工場で製造するように強要した。もちろん人々の胸は熱くなるわな。お隣の州知事ジョン・ケーシックが手にするはずだった大勝利を、トランプが持ち逃げしたんだ。

友よ、グリーンベイからピッツバーグまで、このあたりの人は、イングランドの中流階級と同じだ。疲弊して、元気ががなく、苦しんでいる。

この地域では、いわゆる中流階級の残骸と、田園地域に大工場の大きな煙突が散在している。彼らはレーガンのトリクルダウン理論に騙されて、怒り、辛い思いで働いている(もしくは、働き口すらない)人たちだ。いつも耳ざわりのいいことを言っておきながら、いざというときにはゴールドマン・サックスのロビイストに高額の小切手を書いてもらうのを期待して、なんでもかんでも揉み消してしまう民主党の政治家に捨てられた人たちなんだ。

イギリスで起きたことは、ここでも起きるだろう。ボリス・ジョンソンみたいなエルマー・ガントリー(口がうまいやり手のセールスマン)が現れ、どんなにひどい状態になるとわかっていても、今がチャンスなんだ!と確信させるように適当なことを大衆に言うだけだ。アメリカンドリームをぶち壊した奴ら全員に貼り付け! そしてアウトサイダーのドナルド・トランプが、奴らを懲らしめるためにやって来た! トランプに同意する必要はない! 好きになる必要だってない! トランプは、君らが嫌な人間たちに投げつける火炎瓶だ。それでなくても、彼らは君らに火炎瓶を投げつけてくるんだ! メッセージを送れ! トランプは君らのメッセンジャーだ!

そして、ここで数学が役に立つ。2012年、共和党大統領候補だったミット・ロムニーは64人の選挙人の票差で敗北した。ミシガン州、オハイオ州、ペンシルベニア州、ウイスコンシン州で投票された選挙人票を足してみれば、合計64だ。トランプの予想通りで、トランプがやればいいことは、アイダホ州からジョージア州まで(決してヒラリーには投票しない州)のレッドステート(共和党が優位の州)を制したら、あとはこの4つのラストベルト州を押さえるだけだ。トランプにはスイングステート(選挙のたびに結果が変わる州)のフロリダ州は必要ない。コロラド州やバージニア州も必要ない。ミシガン州、オハイオ州、ペンシルベニア州、ウイスコンシン州だけだ。これで、トランプはトップに躍り出るだろう。これが11月に起こる。

(中略)

5. ジェシー・ベンチュラ効果。

結局、有権者の何かしでかしてやろうというパワーを過小評価してはいけないし、いったん投票ブースのカーテンを閉めて、一人きりになったら、自分が隠れアナーキストだと自認している大衆を見くびってはいけない。投票ブースはセキュリティカメラや盗聴器が付いていないし、配偶者も子どもも上司も警官もいないし、いまいましい制限時間もない、世の中に残された数少ない貴重な場所だ。そこでは、必要なだけいることができるし、誰も何かをするように強制することはできない。ボタンを押してもいいし、党の公認候補にも、そうでなけりゃはミッキーマウスとかドナルド・ダックと書いて投票することだって出来る。規則はないんだ。

そして大勢の人間が疲弊した政治体制に怒っているから、大衆はトランプに同意するわけでもなく、トランプの偏狭な考えとかエゴを気に入っているとかでもなく、ただ、投票できるからっていうだけでトランプに投票する。計画をぶち壊しにして、パパやママをこまらせてやろうっていうくらいの気持ちで、これをやる。

ナイアガラの滝の端に立っている時、一瞬、柵を越えたらどうなるんだろうって心の中で思うのと同じような感覚で、黒幕になったような気分で、どうなっちゃうのか見てみたい一心でトランプにポンと票を入れる奴はいっぱいいるだろう。

90年代に、ミネソタ州で知事にプロレスラーが選ばれたことを思い出してほしい。ミネソタ州の人たちの頭が悪いからそうなったわけじゃない。彼らが、ジェシー・ベンチュラは優秀な指導者で、政治的見識を持った人物だと思っていたら、彼に投票しなかっただろう。彼らは、ただ単にやってみただけだ。ミネソタ州は、アメリカでも最も賢明な州の一つだ。一方でミネソタ州の人たちはブラックユーモアを好む。そしてベンチュラに投票したのは、病んだ政治体制に対する、彼らなりの辛辣な悪ふざけだった。これがトランプにも再び起こる。

HBOのトーク番組「リアル・タイム・ウィズ・ビル・マー」の共和党全国大会特集に出演した後、ホテルに戻ろうとしたら、ある男が俺を引き止めた。 「マイク、俺たちはトランプに投票しなきゃいけない。俺たちは大改造する必要がある」。そういうことか。それだけで、彼にとっては十分だった。「大改造する」ためなんだ。トランプ大統領誕生は、まさに大改造になるだろうし、投票した人々の大部分は、外野席に座って、そんなリアリティ・ショーを見たいと思っている。

(次回、どのようにしたらトランプを倒せるか、俺の考えを投稿するつもりだ。)



(私のコメント)

テレビを見てもネットを見ても、今一つトランプが大統領選挙になぜ勝ったのか核心的なところが分かっていないようだ。なぜトランプはミシガンやオハイヨで勝ったのかの納得できる説明がされていない。それでマイケル・ムーアの記事を見て初めて納得が出来た。

「株式日記」で指摘して来たように、グローバリズムと反グローバリズムの戦いであり、グローバリズムのおかげでアメリカのラストベルト地帯は製造業が荒廃してしまった。GMの工場はメキシコに移転してしまった。残されたのは失業した労働者たちであり、収入が失われて家も手放して労働者はホームレスになってしまった。

共和党大統領も民主党大統領もみんなグローバリスト達であり、アメリカの製造業は中国をはじめとしたアジアに引っ越して行ってしまった。アメリカは金融立国を国家戦略として打ち出してきた。製造業でコツコツと働くよりも金融で稼いだ方が効率が良いからだ。

昔は、GMにとって良い事はアメリカにとって良い事だと言われましたが、今ではゴールドマンサックスにとって良い事はアメリカにとって良い事だとなってしまった。しかし誰もが投資銀行のファンドマネージャーになれるわけがない。おかげでクライスラーは潰れてGMも潰れかけた。

中産階級の没落と製造業の没落はリンクしており、金融業では国民全体を豊かには出来ない。オバマ大統領も製造業の復活を目指しましたが、一度工場がメキシコや中国などに移ってしまうと、人材も技術も無くなってしまっているから工場を作っても何も出来ない。結局は日本やドイツの自動車メーカーの進出を促さないと無理だろう。

同じような事は日本でも起きており、日本の電気メーカーは韓国や中国に技術供与して、DRAMや液晶パネルやなど価格競争で負けてしまって、日本の電気メーカーは三洋電気やシャープのように潰れてしまった。なぜ技術供与したかと言うと円高やアメリカとの不均衡貿易で叩かれたからだ。

結果的に日本の製造業も中国やアジアに移転してしまって、日本全体がラストベルト地帯化してしまった。おかげで中国は世界第二位の経済大国になり、韓国は先進国の仲間入りをした。経済評論家たちは日本も米英のような金融立国を目指せとか言っていたが、リーマンショックでそのような事を言う人はいなくなった。

同じ事はイギリスでも起きて、国民投票でEU離脱が決まりましたが、イギリスも工業大国だったのに今は製造業は見る影もない。逆に日本からイギリスに自動車や鉄道車両メーカーが進出するほど製造業が空洞化してしまった。アメリカやイギリスが工業大国として復活するには関税をかけて保護貿易に戻るべきなのだろうか。

トランプ新大統領は自動車に35%の関税をかけると言っていたが、それでアメリカの自動車産業が復活するのだろうか? 日米では為替で貿易不均衡を改善しようとしたが日米の貿易不均衡は改善していない。アメリカが本気で製造業を復活させるには、ドルの基軸通貨制度を止めるくらいの決断が必要ですが、トランプにそれが出来るだろうか。

マイケル・ムーアの主張では、何もかも失ってしまった人にとっては、こんな世界にしてしまった事に対する復讐としては、トランプを大統領にする事によってアメリカを無茶苦茶にする事でテロをするということだ。彼らにとってはもはや失うものが無く、ミシガンやオハイオなどのラストベルトの人々はトランプを大統領に選んだ。

トランプ氏自身も4度の倒産を経験している苦労人であり、テレビタレントにまでなって国民に知られるようになった。だからトランプがいくら暴言を吐いても、ビートたけしが暴言を吐いているようなものであり、トランプの暴言に国民は大喝采をしている。
 



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